もとの意味の一部だけが浸透してしまったカタカナ語 -「テスト(test)」-
英単語が日本語にカタカナ語として取り入れられた際、もとの意味の一部だけが日本に浸透してしまった単語。第2弾はテスト(test)」です。
日本語でも「明日はテスト」とか「中間テスト」のように、普段の会話でもよく使う「テスト」ですが、その本当の意味はわかっていますか?
カタカナ語「テスト」の本当の英語の意味
「試験」 と言った意味での名詞のtest
日本では「試験」といった意味で、テストと言う単語がよく使われます。これはアメリカでも一緒で、まずここは問題ないでしょう。
I have to take a test tomorrow.
「私は明日試験を受けなければいけない。」
ちなみにテストを受けるの「受ける」は「take」となります。
「検査」と言った意味での名詞のtest
「試験」の意味を考えると、この「検査」という意味もそこから派生した意味と理解できると思います。
「試験(test)」というのは「なにかの基準に対して合格か否かを測る」ことですね?よってtestは「検査」と言った意味でも使われます。日本語でも「製品の性能のテストをする」や「耐久性のテスト」といった感じで使われるので、これも 比較的理解しやすいのではないでしょうか。
「a blood test」(血液検査)や「a smell test」(嗅覚検査)「a drug test」(検査薬物検査)「a litmus test」(リトマス試験)などがあります。
I will take a blood test next week.
「来週血液検査を受けます。」
この「検査」 と言うのをさらに深く考えてみると、検査とは「性能や機能」を測るものですね。よって車の試運転等にもよく使われます。
「a test drive」(試運転)
Let's take a test drive.
Let's take it for a test drive.
「試運転してみましょう。」
2通りの言い方があるだけで、どちらも意味は同じです。
ちなみに次の「動詞としてのテスト」の話にかぶってしまいますが、同じような意味を比較するために、ここでも紹介します。「test drive」の「test」を動詞として使うと、このようになります。
I'd like to test-drive this car.
「この車を試運転してみたいです。」
日本語的に考えると、試運転が「test drive」なら、試着にもテストが使えるのかと思うかもしれませんが、「なにかの基準に対し性能や機能を計るもの」では無いですよね。(まぁある意味、性能や機能を計ると言えないこともないかもしれませんが)試着は「try it on」です。
動詞としてのtest
「試す」といった意味での動詞のtest
次に動詞としてのtestです。日本語でも、先程の試験といった意味でのテストほど一般的では無いですが、そこそこ動詞として使われますよね?
「彼がこの仕事ができるかテストしてみる。」
この場合だとまだ「試験する」といった意味合いが強いですが、次のようにも使われますよね?
「彼がそれを盗まないかテストしてみる。」
「彼が浮気をしないかテストしてみる。」
ちょっと違和感を感じますか? これに違和感を感じないようなら、あなたには英語のセンスがあります。
英語ではこのように「試してみる」と言うニュアンスがあり、それがテスト本来のもともとの意味なのです。そこから派生して試験のようなテストにも使われるようになったのです。
この「試す」といった意味での「test」と言う単語は、日常会話でよく使われるます。
God is testing us.
「神が我々を試しているのだ。」
やや宗教チックな文章ですが、ご存知かと思いますが、英語の表現には神や宗教を用いる表現が実に多いですよね。この文章は、何か困難なことに直面した時によく使われる文章です。
次のような文章も実によく使われます。
Are you testing me?
「俺を試しているのか?」
直訳の「私にテストをしているのか?」でも大まかな意味は伝わると思います。
どのような場面に使われるかによって若干ニュアンスの違いはありますが、例えばコンピューターが得意と言った人が、わざと難しいコンピューターの話をされた時に返す言葉として使うこともできます。
もしくは相手から何らかの挑発的な行為をされたときに、「俺が怒らないかどうか試しているのか?」と言った感じの返し文句としてもよく使われます。
Don't test my patience.
「私の忍耐を試すな。」
先程の文章のもっとわかりやすいバージョンで、これも実によく使われる文章です。
直訳すれば「私の忍耐を試すな。」です。なんとなく言っている意味はわかると思いますが、「そろそろ怒るぞ」、「俺を怒らせるな」といった意味です。 また「patience(忍耐)」という単語を使っているので、「忍耐・ガマンがそろそろ限界だ/ 我慢するにもほどがあるぞ」といった含みがあります。
「検査する」といった意味での動詞のtest
先程の名詞の時に出た「検査」いった意味で、動詞としてもtestは使われます。
I had my blood tested.
「私は血液を検査してもらった。」
You should have your brain tested.
「あなたは脳を検査してもらうべきだ。」
下の文は、「頭が痛い」 と言っている人に対して、単純に「脳の検査を受けるべきだ」と言う場合もありますが、「頭おかしいんじゃないの?」といった嫌味としても使われます。日本語でもそうですよね?
その場合、ほぼ同じ表現方法として「You should have your brain checked out.」などは常套文章です。
「have your brain tested」も、そのように嫌味に捉えられてしまう可能性があるので、使用する時はちょっと注意した方がいいでしょう。「have your brain examined」の方が嫌味に捉えられる可能性が低くなりますが、ゼロではありません。
ちなみに「検査の結果が 〇〇だった」と言うときには、このように言います。
He was tested positive for covid-19. 「彼はコロナで陽性と診断された。」
He was tested negative for covid-19. 「彼女はコロナで陰性と診断された。」
ちなみに私は日本語の陽性/陰性がどちらがプラス・マイナスなのか、いつもわからなくなってしまいます。(陽陰なので日本語と言うより中国語ですかね?)英語の「positive/negative」の方が分かりやすいですよね。
もう1つついでにですが、コロナが流行し始めた頃、日本でも最初のうちは「covid-19」と言う言葉も使われていましたが、いつの間にか「新型コロナ」と言う単語の方が通常に使われるようになってしまいましたね。(当初は「新型コロナ」と言うのは正確ではない言葉として紹介されていたハズですが…)
英語では(少なくともアメリカでは)正式名称の「covid-19」が会話などでも一般的に使われます。
ちなみに先ほどちらっと登場した、test と同じように「試験」と言う意味で使われる exam(examination) に関して詳しくは下記の記事で解説しています。
「テスト(試験)」を表す英語、test /exam(examination)/ quizの違いと意味
形容する法則を知っていれば混乱しない
ネイティブからすれば全く紛らわしい事は無いのですが、英語を学んでいる立場からすると、若干混乱してしまいがちなのが下記のような違いです。
a driving test →運転試験
I took a driving test. 「私は運転試験を受けた。」
a test drive →試運転
I took a test drive. 「私は試運転をした。」
これはどちらの単語がどちらを形容しているのかと言う事と、名詞としての「drive」(ドライブ・車の運転運動)と、「動詞+ing」の「driving」(実際に人が運転する人の動き)の意味の違いが分かれば問題ありません。しかし次に紹介するものは、やや上級者向けかもしれません。
a screen test →映画のオーディション [スクリーン(画面上)のテスト]
a screening test →選抜試験 [ふるいにかけているテスト スクリーニングして行われるテスト]
a test screening→試写 [映写しているもののテスト→スクリーニング自体をテストする]
頭が混乱するかもしれませんが、これを理解するには「screen」と言う単語が持つ様々な意味(もともとの大まかな意味)を理解している必要があります。
今回の本題の「test」の話とはやや外れてしまいますで、ここでは上記の所の オレンジ色での簡単な解説のみにしておきます。
まとめ
さて日本語でよく使われる「テスト」と言う簡単な単語から、いくつかの使える英語の文章を見てきました。
ここでのポイントは、毎回そうなのですが、
日本人からすると、英語は1つの単語がいろいろな意味を持つので紛らわしいと思うことが多いかもしれません。しかしそれは、日本人が今回の「テスト」のように、その英単語が持つ「もともとの広い範囲での意味」を理解していないからそう思うだけのことです。
1つの英単語を辞書で調べると、いくつもの定義が出てくることがよくあります。
しかし英単語が持つ「もともとの広い意味」、その1つだけを理解していれば、いくつもの定義を覚える必要はありません。
ポイントとしては、新しい単語を覚える際に、その単語の様々な意味を正確な日本語でいくつも覚えようとしない、と言うことです。最初のうちは不安に思うかもしれませんが、どっちみち英語は日本語に訳せないので、その正確に覚えた意味自体も、本当は「正確」ではない可能性の方が高いのです。そしてそんなにいくつもの多くの定義を覚えていては頭がパンクしてしまいます。 おぼろげなイメージでいいので広い意味をざっくりと「こんな感じの意味」と言う、おぼろげなイメージで覚えていくと、より自然な英語をより早く習得できます。
このことは「おばかさんダリオの話すための英文法」の第13話[答え方を詳しく見てみよう]のおまけ動画「More Practice」でも詳しく解説しています。
ご興味のある方は下記リンクから。
「おばかさんダリオの話すための英文法」の第13話(Filmuy)
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*FilmuyとAmazonでは配信形式が異なるため、タイトルが若干異なります。
(Filmuyでは「More Practice」は第13話のおまけ特典映像として付属。Amazonでは第13話のみでの配信。)
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