カタカナで発音を覚えるのは全てがダメではない

 こちらの記事にも書いたように、カタカナ英語は「伝わらない英語」の代名詞的に使われます。
 私もカタカナ英語は英語学習の妨げになったり、基本的には伝わらなくなってしまうモノ、と言うふうに考えています。
 しかし、私はカタカナを使うこと自体が全くダメだとは思っていません。

 要はその記事で紹介した「カタカナ英語が通じない3つの理由」と反対のことをすれば、カタカナを英語学習に生かすことができるのです。

 慣れ親しんだカタカナを英語学習に使えるのなら、それに越した事はありません。実際、私もアメリカに渡って最初の頃は、発音を覚えたりするのにカタカナを使っていました。

 今回はカタカナを使用して英語の発音を覚えること自体はダメではなく、むしろバリバリのカタカナ発音をしなければ、逆にそちらの方が有効的という話です。

 結論から言うと英語は聞こえたままに話すのが1番。そしてその手助けとしてカタカナを使うと言うのは有り、と言うことです。

聞こえたように書く


 発音に限った話では、カタカナ英語が通じない理由としては、上記の記事の2、3にあたる、「2.発音とは違う表記になってしまう」、もしくは「3.自分がカタカナ発音をしてしまう」と言う、2つの理由にあると思います。
 よって、英語で聞こえた通りにカタカナで書き、そしてそれをカタカナ発音で言わなければ、カタカナを使用してもネイティブに通じる英語の発音で発音することができるのです。

日本も昔はそうだった

 別の記事でも書きましたが、英語が日本に今ほど浸透していなかった明治大正時代には、日本政府の公式文書でも「California」のことは「キャリフォルニア」と表記されていました。
 現在の我々は、下手にカタカナ語の知識があるため「California」は「カリフォルニア」と言うふうに刷り込まれてしまっています。
 また日本人独特の風潮ですが、それを「キャリフォーニア」と言うことが恥ずかしいと感じたり、周りからも冷やかされたりすると言うこともあります。
 しかし実際の発音は「キャリフォーニア」であり、それをノン・ネイティブである日本人がどう転がしても「カリフォルニア」が正しいとする事はできません。
 よって当然ネイティブに伝わる英語を習得するには「California」なら「キャリフォーニア」と表記・発音するようにしなければなりません。

進駐軍と結婚した日本人

 第二次世界大戦後、進駐軍の人と結婚してアメリカに渡った日本人女性は多くいます。私も何人かそのような方たちに会ったことがありますが、彼女たちの英語は発音的には決してネイティブのようにきれいではありません。しかし、下手なコテコテの日本人の英語教師や政治家などの英語よりも断然聞き取りやすいし、通じます。
 それは彼女たちが英語の音を聞こえたままに覚えたからです。
 彼女たちの青春時代は英語は敵国語です。よって当然学校でも教わらなかったし、普段の会話の中で耳にすることもありませんでした。我々のように最低中学3年分の日本的な英語教育は受けていなかったのです。

 よって彼女たちには英語の知識が、ある意味ゼロだったのです。そんな彼女たちが英語を覚えるのには、当然聞いたものをそのまま口から出す、と言う方法で英語を学びました。よって彼女たちの英語は下手な日本での英語教育を受けている学者たちよりも通じる英語になっているのです。

 きっと彼女たちが英語を覚えた時のノートには「キャリフォーニア」のように、聞こえた通りに表記された文字や文章がいっぱいあったことでしょう。

 当時 アメリカで暮らしていた街のスーパーに「Albetson(アルバートソン)」と言うスーパーがありました。私がそんな女性の1人に「アルバートソン」と言うと、決まって彼女に「ちがうわよ。『アルバーっさん』でしょ!」と私の発音を直されたことをよく覚えています。

Albetson ⇒「アルバーっさん」

発音記号がよく分からない

 英語の発音を覚える方法に発音記号がありますが、発音記号って分かりにくくありませんか?
 私は発音記号がよくわからなかったため、アメリカで英語を学んでいた頃は発音を覚えるのにカタカナを使用していました。こちらの別の記事でも書きましたが、ニコールキッドマンなどでお馴染みのニーコルと言う名前は、私はずっと「猫」だと思っていて、それをノートにこのように書き記しました。

 それでもネイティブには「Nicole」として通じていたし、誰もその発音が変だと指摘をしたこともありませんでした。それは私が、私にしか分からない記号的なカタカナで書いたと言う事と、それをカタカナ発音をして使用していなかったからでしょう。

 英語の発音を覚えるのに発音記号は当然わかっていた方が便利で上達も早いでしょう。しかし発音記号がわからなくても英語を習得する事は可能です。現にネイティブたちは発音記号など知らないのですから

掘った芋いじくるな -空耳英語-

 「掘った芋いじくるな」と言うのをご存知でしょうか?
 「掘った芋いじくるな」を英語っぽく発音すると「What time is it now?」に言う聞こえると言う、有名な文章です。

「掘った芋いじくるな」⇒What time is it now?


 昔タモリが司会するテレビ番組で「空耳アワー」と言う番組がありましたが、それと似たようなものです。
 日本語なんだけれども英語のように聞こえる「空耳英語」とも言われます。

「チェキラ」

 「Check it out!」は「チェキラ」として日本に浸透しましたが、多くの日本人がちょっと冗談っぽく「チェキラ」という言葉を使いますが、 実はこれは意外と有効な英語学習法なのです。パーティーも同じように「パーリー」と言うふうに浸透しましたね。

 「掘った芋いじくるな」が「What time is it now?」に聞こえるか?と言われると、私はやや懐疑的ですが、実際に英語の発音などを学校で習ったカタカナ英語のように発音するよりも、このように聞こえた通りに自分のわかっている文字でそれっぽく覚える、と言うこと自体はとても有効な英語学習手段だと思います。

 他にも簡単に紹介すると、こんなものがあります。

「a cup of tea」⇒「あ、カッパ ティ〜」
オードリー・ヘプバーン主演の映画「My Fair Lady (マイ・フェア・レディ)」でも有名です。
この話はまた今度改めてしたいと思います。

「You know me.」⇒「湯呑み~。」
「ゆ〜の〜み〜」と伸ばすと、それっぽいですね。

「What can I see?」⇒「稚内(わっかない)市?」
「かない」が「can I」の部分なので、ややイギリス英語っぽいですね。

カタカナの話ではではありませんが、英語の発音を聞こえたまま日本語で書く、と言う意味では同じことです。

ジョン万次郎

 ジョン万次郎と言うの人の名前を1度は聞いたことがあるのではないかと思います。
 ジョン万次郎は明治時代よりもさらに前の、ちょんまげ時代の江戸時代に英語を話るようになった人です。
 彼の英語学習方法もこのように聞こえたものをそのまま話す、と言う手法で、英語など未知の存在だった江戸時代に英語を話せるようになり、オックスフォードで首席とまでなったのだそうです。

「ぎみわら」

 彼は例えば「water」を「ワラ」と表記して覚えました。
 「water」 は日本人にとって発音しにくい単語で、単純な単語の割に意外と外国人になかなか通じなかったと言う経験を持つ方も多いと思います。
 私はこの「water=ワラ」という話を中学の時の先生に教わりました。

 「waterは日本人が 発音できなくて外国人に通じないケースが多い丸『ぎみわら(= Give me water.)』と 英語っぽく話すと通じる」と先生に言われ、 実際にネイティブに試してみたところ、本当に通じてちょっと面白い経験をしたことを今でも覚えています。

「ぎみわら」= Give me water.

これが カタカナ発音で「ウォーター」と言っていたら きっと通じなかったことでしょう。

まとめ

 本当のカタカナ英語やカタカナ発音ではなく、カタカナを使用して英語を学習し、習得した人の事例をいくつかあげてきました。
 カタカナ英語やカタカナ発音はネイティブに伝わりません。しかし聞こえたままに発音するようにすれば、当然のことながらネイティブには通じます。その記録手段としてカタカナを使用する、と言うことは決して間違っていない、と言うよりむしろ有効な方法だと私の実経験からも断言できます。

 皆さんも自分に合った方法で、生きた本物の英語発音を体得してみてはいかがでしょう。

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