間違ったカタカナ語 ー「th」の発音が日本語で表記できないため違う単語になってしまったカタカナ語ー

 英語を日本語に輸入する際、間違った表記(発音)でカタカナ語になり日本語で使われるケースが多々あります。
間違ったカタカナ語になる理由の1つに、特定の英語の発音が日本語には存在しない、と言うものがあります。

 今回は、その日本語に存在しない発音「th」の発音があることによって間違ったカタカナ語になってしまったものを紹介します。

「th」の発音が日本語で表記できないため違う単語になってしまったカタカナ語

 以下では見出しに「日本語のカタカナ語→モトの英語」を書き、その下に「モトの英語 →その英語の間違ったカタカナ発音と正しい(近い)カタカナ発音」を表記します。

 「正しい(近い)」としたのは、あくまでも「近い」であって、決して「正しい」わけではないので。
 「th」の音が日本語に存在しない以上、本当に正しい発音をカタカナで表記する事は不可能です。ただここで紹介する例は、それにしてもモトの発音と違いすぎ、もう別の単語になってしまっている位に思うものを列挙しています。

 よって「think」のように「th」を表現できなかったため「シンク」になってしまう様なものは対象外です。

一般的な単語

テーマ →theme

theme →X テーマ ○シーム

 「th」の発音を無視すれば、音的には「テ」ではなく「シ」に聞こえるはずです。どう考えても「テ」には聞こえず、また最後の「me」の部分も、なぜ「ム」となったのか理解不能です。

セオリー →theory

theory →X セオリー ○シオリー/シィーリー

 実際の発音を聞けば、どこをどう聞いても「セ」にはならないはずです。 上記同様「シ」に近いです。「シィーリー」は「o」がほぼ発音されずに発音された場合の例です。

人物名に「th」がつく

テルマ →Thelma

Thelma →X テルマ ○セルマ

  映画「Thelma and Louise(テルマ&ルイーズ)」でも有名な「Thelma」ですが、日本語ではこの「th」は、またまた「テ」 となり「テルマ」になっています。

 「th」の発音を無視すれば「セ」に近く聞こえるハズです。 私は初めてこの日本語タイトルを聞いたとき、後ろの「&ルイーズ」を聞いて、ひょっとして「Thelma and Louise」のことか?と、かろうじて察っせましたが、一瞬、医療機器の話をしているのか?と思ってしまいました。

メレディス →Meredith

Meredith →○ メレディス

 今回は正解例です。日本人にはあまり馴染みのない名前かもしれませんが、女性の名前です。
 これまでの傾向を見ると、どうも日本人は「th」を「テ」 にしたいのか?と思ってしまいますが、マイケル・J・フォックスの出世作のドラマ「Family Ties(ファミリータイズ)」 の母親役として有名な女優 Meredith Baxter は「メレディス」と、実際の発音に近い「ス」になってます。よかった…

セオドア →Theodore

Theodore →X シアドア △セオドア ○シィオドォアー △セオドアー

 アメリカ第26代大統領 Theodore Roosevelt でお馴染みの名前で、男性の名前ですね。

 カタカナでは「セオドア・ルーズベル」と書かれるのが一般的だと思いますが「シアドア」と 描かれることもあるようです。
 「シアドア」は論外で間違っています。

 「セオドア」の「セ」の部分は「th」をなんとか表現しているという面では、比較的に近いと思いますが、おしいのは「ドア」。「dore」は「door」の発音と同じなので、「セオドアー」として欲しかった…これならばほぼ正しいと思えます。
 ただ「セオ」よりも「シィオ」の方がもっと近いと思うので「シィオドォアー」を正解とします。

ネイサン →Nathan

Nathan →△ネイサン/ネイスン

 これもやや日本人にはそれほど馴染みのない名前かもしれないですが、男性の名前です。

 こちらも「ネイサン」と「テ」にしなかっただけ、 実際の発音に近い感じにはなっていますが、Meredithでは「th」の発音にしなくてもそこまで違和感は感じませんが、なぜかこの「Nathan」は「th」の発音になってないことにとても違和感を感じる、というか別の単語になってしまっている様に感じます。真ん中に「th」が来るからでしょうか?

 日本語では「th」の発音がないので、これはもうどうしようもないので、 極力実際の発音近い感じになっているだけ良いのですが、何とかできないものかと思ってしまいます。例えば「ネイスン」にするとか。

「姉さんは俺の兄さんだ」?

 と言うのも、ちょっと前に日本でも話題になったアメリカのドラマ「Heros(ヒーローズ)」で、主人公の兄の名前がNathanでした。私は1度そのドラマを日本語吹き替え版で見たことがあるのですが、その時にちょっと面白い体験をしました。
 主人公が、兄の Nathan に対して言う英語のセリフはこうです。

Nathan! You are my brother!


 通常の日本人が「ネイサン」と 発音すると「ネイサン」と言うより「ネーサン」に近い感じになると思います。

 よって聞こえてきたのは「姉さん!姉さんは俺の兄さんだ!」 といった感じでした。一瞬「え?どっち?え?この兄役って実は女だったの?」と頭がパニックになりました。しばらくして「あ〜『Nathan』を『ネイサン』から『ネーサン』になってたんだぁ〜」と納得しましたが、 ちょっと面白い体験に笑いました。
(つい先日「Nathan」を「姉さん」にしたお笑いネタを見た気がしました。「ネタを取られた…」(笑)と思いましたが、これはある意味「バイリンガルあるある」なので…)

まとめ

ブランド名まで間違っていていいの?

 この記事を書くにあたって気になる英単語を日本語のサイトで検索してみたところ、これらの単語が色々とブランド名で使われていることを初めて知りました。これらのブランドは比較的最近日本に進出したと思われますが、日本に進出する際に ブランド名を正しい発音のカタカナ表記にしようとは思わなかったのでしょうか?「日本ではすでにこう呼ばれてるのから」と間違ったカタカナ表記でそのままGOしてしまったのでしょうか?そうなると最初に間違ったカタカナ表記をした人の責任は重大ですね。

カタカナ表記も「伝わる英語」になることも可能

 カタカナ表記は「伝わらない英語」の代名詞的に使われますが、私はカタカナ表記の全てが「伝わらない英語」になるわけではないと思っています。カタカナ表記でも工夫をしたり、あくまでも正しい発音に近い形で使用すれば逆に「伝わる英語」になることも可能だと思います。 今回もおかしなカタカナ表記をリストしましたが、それはただ単に間違っていることを指摘したかったわけではなく、「伝わる英語」になることの手助けの一環として考えてもらえれば幸いです。

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