カタカナ語と和製英語
カタカナ語から正しい英語を学ぶ
多くの日本人が、あたかも正しい英語と思っているカタカナ語は多々あり、その間違いや正しい英語などが色々な所でよく紹介されています。
今回はまず、
❶カタカナ語と和製英語の定義
と、
❷もとの英単語の意味の一部だけが日本人に浸透してしまったもの、
の2つを紹介し、カタカナ語の本来の英語をたどり、よく英会話で使われるフレーズなどに発展させて生きた英語を覚えるという事をしてみましょう。
カタカナ語と和製英語の違い
カタカナ語と和製英語は同義語のように考えられていますが、私はあえて2つを別のものとして考えています。
この定義が正しいかどうかは分かりませんが、私はこのように考えます。
和製英語
和製英語はあくまでも日本人が創作したカタカナ表記の言葉で、「和製」と 言う名前からも、多くの日本人がそれが創作であり、間違った英語(もしくはきっと正しい英語ではないのではないか?)、と認識しているもの。
それに対して
カタカナ語
カタカナ語は日本人の多くが正しい英語を単にカタカナで表記しだけのもの、と思い込んでいるもの。
となります。
この2つの区分けを特に意識する必要はそれほどありません。ではなぜそんなそれほど必要のないものを冒頭に紹介したかと言うと、それは単純に「間違ったもの」なのか「間違ってはいないもの」なのかを区分けし易くなるからです。
最初から結論を言ってしまうと、
●和製英語は間違った英語なので、ネイティブには通じない。
→「間違ったもの」
●カタカナ語はもともと英語を日本語に輸入したものなので、全てが通じないと言うワケでもない。
→「間違ってはいない」ものも含まれる
と言う区分けが出来ると思います。
ここでのキーワードは「全てが通じないと言うワケでもない」と言う、なんとも曖昧な表現ですが…
なのでカタカナ語をもう少し細かく区分けしてみましょう。
細かく区分けするのが面倒という方は、かなり大雑把でな乱暴な結論からすると、「基本カタカナ語は間違っている」と思っておいてもいいかも知れません(笑)。
カタカナ語の分類
❶正しい英語のもの
アウトドア
スポーツ など
❷特定のケースのみに意味が通じるもの
コンクリート(concrete)
サイン(sign) など
❸発音が間違って取り入れられてネイティブには通じないもの
ウイルス(virus)
テーマ(theme) など
❹もとは英語だったが、どこかの時点で間違った意味になってしまいネイティブには通じない/別の意味になってしまうもの
マンション
リベンジ など
❺もとは英語だったが日本人風に短縮されて通じないもの
リモコン
コンビニ など
❻もともと英語以外の外国語から来たモノなので英語として使えない/間違っているもの
パン
アルバイト など
❻は番外的ものなのでこのサイトでは解説はしません。ただ確かに、英語を学ぶと言う事は英語を知らないから学ぶのであって、英語を知らない人からすれば、そのカタカナの語源が英語なのかそれ以外の言語なのかというのは分かりづらいかも知れないですね。
❹と❺に関しては「間違ったもの」なので、機能面で考えるならば和製英語と同じ、ということになります。よってこれらに関しては特に「間違っている和製英語」「間違っているカタカナ語」と分ける必要はないでしょう。 どちらも間違って通じない言葉なので。
今回は「❶正しい英語のもの」と「❷特定のケースのみに意味が通じるもの」の2つを見て行きましょう。
カタカナ語の中には正しい英語のものもある
カタカナで表記される英語の単語の中には正しいモノもいっぱいあります。
例えば、
バック → 後ろ
アウトドア → 屋外の
スポーツ → 運動・体育競技
などがそうです。
ただし、正しいモノはいっぱいあっても、絶対数からすると僅かなので、カタカナ語と聞いた時、それは基本間違っている可能性が大と考えておいた方がいいかも知れません。
もとの英単語の意味の一部だけが日本人に浸透してしまったもの
しかしその中には、もともとの英単語が持つ広義の意味の一部だけが日本人に浸透してしまったものも多々あります。
コンクリート
例えば「コンクリート」。
多くの日本人が「コンクリート」と聞けば、セメントコンクリートのこと(だけ)を指すと思っています。
しかし実際はコンクリートと言う単語の意味は、
「硬いもの、固まったもの」を指し、そこから発展して「凝結した,固体の」や「具体的な、現実の」と言った意味を持っています。
日常会話などでも、この様によく使われます。
Your idea is not concrete yet.
あなたのアイデアはまだ固まっていない。
He said nothing concrete.
彼は何も具体的な事は言わなかった。
アイディア
今の例文でも登場した「アイディア」は、日本では「発想などの思いつき」と言う意味でのみ使われますが、英語ではそれ以外でも「考え、意見,見解、予感、理念」など幅広い「頭に浮かぶイメージ」という感じの意味があります。
「アイディア」に関しては若干ボリュームが大きくなるので、別のページで詳しく解説しています。
もとの意味の一部だけが浸透してしまったカタカナ語 アイディア
ヒント
「ヒントをくれ」と言う感じで、これはもうほぼ訳す必要がないくらい日本語に浸透してますね?
クイズなどに使われる「ヒント」のことですが、英語での意味はそれ以外にも、と言うか「ほのめかすもの、暗示するもの」と言った大きな意味があります。
よく会話で「Hint. Hint.」(通常2回リピートする)と言われたら、それは「ヒントをくれ」と言ってるのではなく、「私の言ってることを察しなさい(ほのめかしてるんだよ/遠回しに別のことをいってるんだよ)」と言われていると言うことです。
また同じ様な意味でhintが使われる例として、
I can take the hint. 「 私も察することはできる」
というのがあります。
相手が皮肉を言っていたり、遠回しに何かを言おうとしている時に使うセリフで、「(君が言いたいことは)分かったよ。」、「俺だって気づくことはできるよ。」と言った感じで、やや皮肉をこめて返すセリフです。
サイン
「サイン」(sign)は日本では「署名」や「野球のサイン」、「有名人にサインしてもらう」と言った意味だけで使われますが、実際の意味は「象徴、シンボル、看板、貼り紙、標識、表示、兆候、形跡」など幅広い意味があります。
大きくざっくりとした意味で「何かを示すもの」を表すと言うことですね。
別の記事で「街には色々な看板や貼り紙や標識が溢れている」と言う意味で「街には色々なサインが溢れている」と自分で書いていて「ひょっとしてこの文章は通じないのでは?」と、サインも意味の一部だけが日本人に浸透してしまったカタカナ語だったと言うことに気づきました。
英語だと全部まとめてサイン一言で言えるので便利です。
外来語とは?
最後に、やや番外的な話をします。
カタカナ語とよく混乱されやすい言葉に外来語というのがありますが、外来語については別のページで詳しく説明しています。
ここでは簡単に紹介すると、
外来語とは、
外来語
もともとは外国の言葉だが日本語と同じように使われるようになった言葉
のことです。
「天ぷら」などはよく知られた外来語の代表選手ですね。
よってカタカナ語のように、人々に「外国語」という認識があまりなく、またほぼ日本語として使われているので、いわゆる「間違った使われ方」ということを考えることもありません。
まとめ
さて今回はカタカナ語の中の「❶正しい英語のもの」と「❷特定のケースのみに意味が通じるもの」の2つを見て来ました。
「❷特定のケースのみに意味が通じるもの」で見て来たように、カタカナ語の本来の意味をたどり、そこから実際に生きた英語のフレーズなどに発展させる、というのは単語力・表現力を広げる有効な手段だと思います。
みなさんも普段使っているカタカナ語を自分で詳しく調べてみて、使える英語を増やして行ってみてはいかがでしょう?
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