「貸す」「借りる」に使われる英語 上級編 borrow, lend, rent, lease, loan の違い

 前回の記事では貸し借りに使用する英単語、borrow, lend, rent について説明しました。

borrow, lend, rent の違いのおさらい

 一応おさらいしておきましょう。ポイントは貸し借りが無料か有料かで行われるかと言う事と、どちらが貸すで、どちらが借りるか、と言うことでした。

 今回はさらに似たような単語、lease と loan も加えて解説します。

borrow, lend, rent, lease, loan

 最初に相関図で結論から行きます。

 新たに加わった lease は rent 同様、有料で貸す時にも借りる時ににも使用できます。rent との違いはその貸し借りの期間の長さと契約の有無です。

loan(動詞) 無料で貸す

 日本語でもカタカナで「ローン」とお馴染みの言葉ですが、 英語で動詞として使われる場合、日本語での感覚と意味が異なります。 これは主にアメリカ英語でのみのようですが、loan が動詞で使われる場合、上の表のように無料で貸し出す、と言う意味になります。
 よって基本は lend と同じように使用できます。単語的には lend よりややフォーマルな感じになるので、 lend よりやや丁寧感が出ます。
 日本語では「ローン」と聞くと銀行のローンのように利子がかかるもの、と言う印象があるのでかなりイメージが違いますね。

Could you loan me your car? あなたの車を貸していただけますか?
He loaned me some cash. 彼はいくらかの現金を貸してくれた。

 ちなみに下の方で解説しますが、loan が名詞として使用される場合は日本語の「ローン」と同じような感覚で使われます。
 

lease 契約し、有料で長期間貸し借りする

 leaseは有料で、きちんとした契約を結んで、比較的長期間貸し借りするときに使います。土地や建物などの貸し借りに対して使われます。
 貸し借りの両方で使えますが、借りると言う意味の方は、日本語のリースとほぼ同じように使われるのでわかりやすいですね。

rent と lease の違い

 lease に対しrent はDVDレンタルやレンタルカーのように、比較的短い期間の貸し借りをする時に使用されます。
 レンタカーなどでは都度契約書のようなものを書きますが、リースよりはやや簡易的で、DVDレンタルに至っては1番最初に何らかの契約は交わすでしょうが、都度のレンタル時には特に契約書を書きませんね。このように rent はリースよりやや重くない有料の貸し借りと言うニュアンスがあります。
そういったことからも lease は土地や建物、高価なものなどに対してよく使われます。

He leased his office to Tom. 彼は彼のオフィスをトムに有償で貸し出した。
Should I buy or leased this car? この車を買うべきかリースする(有償で借りる)べきか?

rent も lease も同じ単語で「貸す」にも「借りる」にもなる

 rent と lease は同じ単語なのに「貸す」にも「借りる」にも使われる、と言うのはややこしいですね?
 よってどちらか片方で使うケースはやや稀になります。

 「やや稀」というのは、あくまでも私の個人的な感覚や経験からくるもので、「絶対に」とは言い切れませんが、ある意味これは日本語で使用するときの感覚とも似ているので、なんとなくわかるのではないでしょうか?

日本語=英語では無い rent, lease は「賃貸する」

 どちらかと言うとこれも「日本語=英語」では無いから、と言う事なのですが、要するに rent も lease も「貸す」「借りる」と言うよりは、「賃貸する」と考えた方がいいかもしれません。

それでもやはり混乱する

 今も言ったように rent を「貸す」と言う意味で使用するのは、個人的にはやや稀とは思いますが、それでも実際は使われることも当然あります。 よって例えば次のような文章を見てください。

He rented his apartment for the summer.

これでは彼がアパートを借りたのか貸したのか分からなくなってしまいます。

rent out

 上記のようにどちらの話をしているのか混乱を招くような文章を避けるため out を使用して「rent out」とすることがあります。「貸し出す」と言う感じですね。
 leaseも同様に「lease out」とできます。

He rented out his apartment for the summer. 彼は自分のアパートを夏の期間貸し出した。

使用される前置詞

 これまで紹介してきた単語は、その意味合いからしても to や from などと一緒に使われます。

I borrowed a pen from Tom. 私はトムからペンを借りた。
I will lend a pen to Tom. 私はトムにペンを貸した。

 先程の「He rented his apartment for the summer.」のように、貸したのか借りたのか分からない場合、聞いた側はきっとこのような質問するでしょう。

He rented his apartment from someone or he rented his apartment to someone?
彼はアパートを誰かから借りたの?それとも誰かに貸したの?

 このように混乱を招く可能性のある文書の場合は、前置詞を使って最初から誰から借りたのかや、誰に貸すのかなどを明確にすることもできます。

He rented his apartment from Tom. 彼はトムからアパートを借りた。
He rented his apartment to Tom. 彼はトムにアパートを貸した。

名詞の loan

 これまではすべて動詞としての意味を見てきましたが、loan と lease は名詞にもなります。(前回の記事でも書いたように「rent」も名詞にもなります。)
 名詞の loan は日本語で使われるローンにほぼ近い感じで使われます。 要するに「利子を払って銀行等から借りるもの」と言う意味です。
 loan を名詞として使う場合、動詞は「get」か「take out」が使用されます。

I took out a loan from the bank. 私は銀行からローンを借りた(ローンを組んだ)。
I got a ten-year loan to buy this house. 私はこの家を買うのに10年ローンを組んだ。

 ちなみに住宅ローンには「a housing loan」と言うこともできますが、日本人には馴染みのない単語かもしれませんが、住宅ローンには「mortgage」という単語が使われることの方が一般的です。

I need a mortgage to buy a house. この家を買うには住宅ローンが必要だ。

有料と無料の微妙な境界線

 さてこの名詞の loan の話を聞いていると、動詞としては無料だったのに、名詞では有料になるというのは、なんとも腑に落ちない感じがするかもしれません。
 実は動詞の loan も「有料で借りる」と言う意味で使われることもあります。というか、さらに言ってしまうと borrow や lend でも有料での貸し借りに対して使用されるケースがあります。

I borrowed some money from a bank. 私は銀行から金を借りたお金を

 これは意味的には明らかに間違った文章なのですが、実際ネイティブもこのような文章使うことがよくあります。
 それはある意味 borrow があまりにも一般的な単語のため、有料のものにも誤用されていると言うわけです。
 もう1つの理由としては、「I」を主語にして話したい場合、「お金を(有料で)『借りた』」と出来る単語がない、というのも、この誤用がある意味公認される理由です。
 よって聞く側も、銀行からタダで借りられるはずがないので、ほとんどの人が実際は有料で借りた、と認識するケースがほとんどです。言葉にうるさい人は下記のように訂正するかもしれません。

You mean you took out a loan from the bank.  銀行でローンを組んだと言う意味だろ?

 このような誤用は lend や動詞の loan に対しても起きます。中でも loan は今も解説したように、名詞としては実際に有料の銀行のローンで使われるので、実際に「有料で貸す」と言う意味合いで使われる割合が高くなっています。


 あくまでも有料・無料の基本は最初に表記した表の通りなのですが、そのような背景から誤用も含め、下図のように有料無料の境界線はやや曖昧なところに実際は存在します。

さいごに

 以上、「貸す」「借りる」に使われる英語の上級編、 borrow, lend, rent, lease, loan の違いについての解説でした。

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