自動詞と他動詞の違いとその覚え方
英語を学んでいて1番最初につまずく壁の1つが「自動詞」と「他動詞」 ではないでしょうか?
今回はそんな自動詞と他動詞を、マンガ版「おばかさんダリオの話すための英文法」のエピソードを交えて、わかりやすく簡単にまとめて説明をします。
「おばかさんダリオの話すための英文法」同様、 「英語言葉として捉える」話すことを目的とした文法を主軸に解説します。
動詞の種類は2種類だけ
まず全体的な相関図を感じられるように最も基本的なところから始めます。
英語の動詞は大きく分けて2種類しかありません。
1つはBe動詞。もう1つはDo動詞です。
このDo動詞は一般動詞とも呼ばれることがあります。
「自動詞」と「他動詞」はこのDo動詞の中をさらに分類した2つの種類です。
ではこの自動詞と他動詞 と言うものはどういったものでしょうか?
自動詞とは
自動詞も他動詞も読んで字のごとく。自動詞はその動詞単体で、要するに自分だけで文章を完成させられる動詞のことです。「『自』分」だけで文章を完成させられるので自動詞と言います。
自分だけで文章を完成させられるので次に単語が続く必要がありません。
I dance. 私は踊ります。
動詞だけで文章が完成してるので、次に単語が続く必要がありませんが、逆にその後に単語を続ける場合はまずは「前置詞」が必要になります。よってほとんどの場合、自動詞の後ろは「前置詞+名詞」と言う形になります。
I dance in New York. 私はニューヨークで踊ります。
その他の自動詞:
act(演技する) cry(泣く) fall(落ちる) swim(泳ぐ) laugh(笑う) look(見る) など…
他動詞とは
他動詞というのは、自分だけでは文章を完成させらず、「他」が必要な動詞のことです。
「他」が必要ということなので、その次にはその「他」にあたる単語がきます。
この「他」にあたる単語は「目的語」と言われます。
基本的にこの「他」にあたる単語(目的語)は名詞(系の単語)であることが多いです。
I love you.
その他の他動詞:
ask(尋ねる) build(建てる) change(変える) clean(片づける) finish(終える) keep(取っておく) など…
「他」にあたる単語(目的語)の名詞『系』の単語って?
名詞とは人や物など、 世の中に存在するすべての物を表す単語のことです。
それは比較的わかりやすいですが、その他にも名詞のような役割をする単語のことを名詞系の単語と(少なくとも)私は呼んでいます。
やや難しめな文法用語かも知れませんが、「代名詞」や「動名詞」などが名詞系の単語と言うことになります。文字から見てもわかるように「名詞」と言う言葉が含まれていますね。
名詞系の単語
「代名詞」や「動名詞」
I love you. あなたが好き。
I love Tom. トムが好き。
I love him. 彼が好き。
(him = 代名詞)
I love singing. 歌う事が好き。
(singing = 動名詞)
英語を話せるようになるには自動詞・他動詞を理解している必要があるか?
英語できちんとした会話をするには、このように自動詞と他動詞によって文章の作りを変える必要があります。それでは英語を話せるようになるにはどの動詞が自動詞で、どの動詞が他動詞かということを全て知らなければいけないのでしょうか?
答えはイエスとノーです。
当然きちんと話せるようになるにはその動詞が自動詞か他動詞を理解している必要はあります。
しかしそれを知るために「この動詞が自動詞」と言う風に暗記する必要はありません。
英語はあくまで言葉なので、英語/単語を言葉として覚えれば、「暗記」をする必要はないのです。
言葉として覚えるとはどう言う事なのか?
1人で出来ることなら自動詞
まずその言葉の意味を考えてみましょう。例えば「dance(踊る)」は1人で出来るでしょうか?1人でできるというのはその対象物が何もなくても相手があなたの言ってることを理解できるか?と言うことです。
ある意味端的でぶっきら棒な文章になってしまうかもしれませんが、「私は踊る」で意味が通じますね。よってこれは自動詞と言うことになります。
その対象が必要なら他動詞
もう一方の「love(愛している)」と言う単語。1人で愛せるでしょうか?
「愛する、好き」は何かその愛するモノや好きなモノと言う対象物があって、初めて文章が完成しますね。よって「love」は他動詞と言うことになります。
動詞だけで文章が完成しているってどうやってわかるの?
言葉として聞いた時そこで意味が通じるか?
さらに言うと「私は踊る」は端的なでぶっきら棒であれ、それだけ聞かされれば取り合えず意味が通じます。
要するに動詞で文章が終わってたとして、そこで意味が通じる/納得するのなら、その動詞は自動詞と言うことになります。
それに対し「love」は「 私は愛している…」となり、目的語となる対象物のところまで聞かないと、話が尻切れトンボで意味が完成しません。
そのように対象物を聞かないと意味がいまいち通じないような動詞は他動詞と言うことになります。
自動詞・他動詞の覚え方
〜をまでを含めたきちんとした意味で覚える
ここまで話した「英語言葉として捉える」と言う事と若干矛盾して「日本語で単語覚える」と言うことになってしまいますが、他動詞がその動詞単体で文章が完成していないのはなぜか?と言うと、それはその動詞の意味の中に「「〜を・〜に・〜が」が既に含まれているからなのです。
「love」と言う単語に関して言えば、「love」は「好き」ではなく「〜を好き」と言う意味なのです。
よって今後、新しい動詞を覚える際には「好き」ではなく「〜を好き」の「〜を」までを一緒に覚えるクセをつけましょう。
ネイティブはどうやって覚えた?
今の「〜を」まで一緒に覚える、と言うのは、やはり英語を覚えるのに日本語を使用することになります。
それはある意味「英語を言葉として捉える」、「英語を英語として捉える」、「英語を聞こえた語順で理解する」といったことの妨げになってしまいます。
ではネイティブはどうやって自動詞と他動詞を理解しているのでしょう?
ほとんどのネイティブは自動詞・他動詞と言うものをよく理解していない
私もネイティブも「動詞の『do』は自動詞?他動詞?」と聞かれて、その場ですぐにパッと答えられません。
そのような質問をされた場合、私たちはまず「Do it」と言ってみて「it」が必要だから、もしくは「it」の前に前置詞がつかないからそれは他動詞だと答えます。
同じように「listen to」と考え、それは自動詞と答えます。
ちなみにこの場合のネイティブと言うのは、ある程度英語を教えた経験のある人のことを言っています。英語を教えたことのない本土のネイティブに自動詞か他動詞かと聞いても、多くの人は「何それ?」と逆に聞いてくるでしょう。
英語で自動詞は「an intransitive verb」他動詞は「a transitive verb」
ちなみに英語で自動詞は「an intransitive verb」。他動詞は「a transitive verb」と言います。一応。
ネイティブは「Do it」が1つの単位(他動詞の覚え方)
自動詞と他動詞によって文章の作りの違いが変わってくると言うのに、彼らの多くは自動詞と他動詞と言うモノを理解していない、と言うのはある意味不思議な現象かもしれません。ただそれは日本語をペラペラと話せる私たちが その文法を外国人にきちんと伝えられないことと同じでしょう
英語を学ぶ私たちにとってネイティブ以上の最高の手本となる先生はいません。ネイティブたちが自分たちの母国を習ったのと同じように、私たちも動詞を学ぶときは「Do it」を1つの区切りとして口に出して覚える様にしましょう。私もそのように覚えました。なので私もネイティブの文法等は考えずに話してる時は自然と「Do it」と出るし、逆に聞いてる時に「Do」だけで文章が終わっているとおかしな文章、と思うようになるのです。
ちなみにこの「Do it」のようにな一区切りを、私は「カード」と呼んでいます。カードとして覚えるのは、話せる英語を習得するには最短最強の方法でしょう。
またこのネイティブのように「Do it」と言う英語の一区切りのカードとして自動詞他動詞を体得することによって、上記で述べた日本語で英語を覚える必要もなくなります。
ネイティブの他動詞の覚え方(「go to」が1つの単位)
他動詞も同様に「動詞+前置詞」の形がネイティブにはほぼカードのように染み付いています。
例えば他動詞の「go」の後には、基本的に前置詞の「to」が来ます。よってネイティブは、「go to」でほぼ1つの単位(カード)として捉えているのです。
他にも「listen to」のように、動詞に対して使用される前置詞は意味的にもコレ!っとほとんどのケースで決まっています。
よって他動詞を覚えるときは、前置詞とのセットで何度も口に出して覚えるのが、後の会話にもリスニングにもベストな方法となります。
ネイティブは暗記したわけではない
ちなみに念のために言っておきますが、ネイティブは英語を言葉として使用しているので、別にカードとして「覚えた」ワケではありません。
「go」の後につける前置詞を意味的にも「to」を選ぶと同時に「go to」として何度も使ったり聞いたりしてきた経験から、自然に「go to」を1つの単位として会話で使用するのです。
それよりはやや中級者向けの話で、他動詞の話からやや逸れますが、今も「意味的に」と述べ、上でも「ほぼ」と言ったように、「go」に対しての前置詞は絶対に「to」とは限りません。意味的に「go for」となることもあります。
これもやはり英語を言葉として理解しているので、前置詞を意味によって使い分けると同時に、「go to」だけではなく「go for(目指す)」や「go with(一緒に行く)」と言った色々なカードのネタ(語彙力) を持っているからこそ成せる技なのです。
自動詞と他動詞の見分け方
自動詞と他動詞を見分ける必要があるのか分かりませんが、日本の英語学習上その2つを見分ける必要があるとしたら、もうみなさんはすでに分かっていると思いますが、1番簡単な方法はその動詞の後に前置詞が来るか来ないかです。
これまで話してきたように、自動詞には次に前置詞が来ます。よって動詞の次の単語が前置詞であれば自動詞、名詞系の単語であれば他動詞ということになります。
I dance at a club. [自動詞] at = 前置詞
I like dogs. [他動詞]
ただしこれは絶対ではありません。自動詞の後に来る単語が名詞の場合は「前置詞+名詞」となりますが、副詞が来る場合もあります。
I dance slowly. 「slowly[副詞]」
後に来ている単語は名詞か副詞かを見分ける1つのおおまかな感じの方法は、副詞の多くは「-ly」で終わっています。 よって 動詞の次に来る単語が「-ly」で終わっている場合、その動詞は自動詞だと言えます。
ただ「-ly」で終わっていない副詞もあるので、そこは注意が必要です。
He dances well. 「well[副詞]」
まとめ
とりあえずここまでの事が理解できれば自動詞・他動詞の違いとその捉え方や覚え方はとりあえずクリアでしょう。
さらに深い話をすると、実は自動詞の中には他動詞にもなるものもあったりもします。
しかしそれは次回の中・上級編で解説したいと思います。 「中・上級編」という、さらに深い話はあるものの、基本は全てここにある、と思ってもらって良いでしょう。
ちなみにこちらのYouTubeで無料で公開している、アニメ版「おばかさんダリオの話すための英文法」でも、 チラっとですが自動詞と他動詞の話をしています。
よかったら見てみてください。
(10:03位からが自動詞と他動詞の話です。)