英語で「聞く」を意味する似た単語「listen」と「hear」の違いを徹底解説

 「聞く」を使った文章を英語で作りたい時「listen」と「hear」 と言う2つの単語が頭に浮かび、どちらを使用すべきか迷う事は無いでしょうか?
 今回はそんな「聞く」を意味する、似た単語「listen」と「hear」の違いを解説します。

「listen」と「hear」の違い

 恒例、最初から結論をまとめます。
 「listen」は音を意識して聞く時に使われ、「hear」は意識しないで聞く時に使われます。
 また「listen」は自動詞なので後に前置詞が付き、「hear」は他動詞なので前置詞は付かず、その次には目的語が来ます。

He is listening to music.
I hear strange noise at night.

「listen」は意識して聞く

 「listen」は意識して聞いている、というのが主な意味になります。
 よって音楽等に対しては基本的には「listen」が使われます。

If you like rock classic rock, you should listen to the Eagles. クラシックロックが好きならイーグルスを聞くべきだ。

 当然音楽以外にも意識して聞く場合には「listen」が使われます。

Be quiet. I'm listening to their conversation. 静かにして。私は彼らの会話を聞いているんだから。

 「意識して聞く」から派生して、 きれいな日本語では「注意して聞く」や「主体的に聞く」などといった意味にもなります。ただどちらも「意識して聞く」と言うことに違いはありませんね。

「listen」は前置詞の「to」がつく

 これまでの例文でも分かるように、「listen」はその後に前置詞の「to」が必ずつきます。
 文法的な理由を知りたい人用に解説しますが、これは「listen」が自動詞なので、その目的語の前には必ず前置詞が必要となるからです。

命令文には「to」はいらない

 しかし、すべてのその他の自動詞(後に前置詞+目的語となる動詞)がそうであるように、命令形で使われる場合は「listen」単体でも使用可能です。例えば「go」は自動詞ですが、「Go! 」とよく聞くように、「Go! 」単体でもよく使われますね。

I go to school. 私は学校へ行きます。
Go!  行け!
Listen! This is important. よく聞いて。これが重要だから。
Listen, class. Today, we will have an exam. クラスのみんな聞いてください。今日はこれからテストを行います。

慣用表現的な「listen」

 今、命令文の話をしましたが、「listen」とは命令的に「よく聞け」と言うふうに使われるだけではなく、ある意味日本人的には「なぜそこでListenを使う?」と思うような文章の頭でよく使用されます。
 日本語の「ねぇ」や「おい」 的な感覚で使われる感じです。
 (正確な用語に分類すると「間投詞」となるんでしょうか?)

Hey, listen. I need you to do me a favor. ねぇ。 お願いがあるんだけど。

「hear」は意識しないで聞く

 「hear」は特に意識しないで聞く時に使われます。 日本語は難しいですが「意識しないで聞く」といっても、ただボーっと聞いていると言うワケではありません。特に意識しないでも、「自然と聞こえてくる」時には「hear」が使われます。

I hear the door bell. 玄関のチャイムが聞こえる。
I heard the phone ring. 電話が鳴るのが聞こえた。
I heard his speech. And it was good. 彼のスピーチを聞いた。良いスピーチだった。

 スピーチなどは、なんとなく「意識して聞く」から「listen」のような気もしますが、スピーチと言うものは聞く側に聞こえるようにマイクを使ったりして話すものなので、特に注意を払わなくても自然に聞こえてしまいますね。 よってスピーチには「hear」が使われるのが通常です。

噂などを耳にする

 噂話などはこれも自然に耳に入ってきますね。よって「ある人は〜だと聞いた」と言う時も「hear」が使われます。

I heard Tom is really nice. トムはとってもいい人だと聞いた。

ヒアリングテスト

 最近ではこの誤用はかなり減ってきましたが、一昔前は英語での「リスニングテスト(聞き取りテスト)」のことを日本語では「ヒアリングテスト」もしくは「ヒアリング」と言われてきました。
 しかし上記で既に分かったと思いますが、「聞き取りテスト」は「注意して聞き取る」ので「リスニングテスト」が正しい言葉です。

listening test →「聞き取りテスト」

 これに対し「ヒアリングテスト」は意識しないでも聞こえてくる、要するに「聴覚テスト」のことになります。

hearing test →「聴覚テスト」
他にも
hearing aid →「補聴器」

 ちなみに「ヒアリング」だけだと、「聴力」や「聴取」などという意味になり、特に「聴取」や「(委員会などの)聴聞会」という意味でよく使われます。

Where can I watch congressional hearing today? 今日の議会公聴会はどこで見れますか?
You can listen to the Senate hearings on the Government website. 上院公聴会は政府のウェブサイトで聞くことができます。

 下の例文は「hear」を名詞(動名詞)として使ったものに対して「listen」を使っているので、 ある意味興味深い学習材料ではないでしょうか?

「listen」と「hear」の細かい使い分け

音楽にも「hear」が使われる

 先ほど音楽等に対しては基本的にはListenが使われると書きましたが、絶対ではありません。
Listenと「hear」の「意識して聞くか、自然に耳に入ってくるか」と言う違いが分かっていれば、下の違いも分かるハズです。

I listen to music at night. 私は夜には音楽を聴きます。
I hear some music. 音楽が聞こえてくる。

 上の文は通常的な使い方で、音楽を聴く時はその音を自ら注意して聞くので「listen」が使われています。
 下の文章は例えば、どこからともなく音楽が聞こえてきたような時で、特に自分から注意を払って聞いているワケではなく、音楽が自然に耳に入り込んできているので「hear」が使われています。

次の2つはどうでしょうか?

I listened to his songs.
I heard his songs.

 同じ彼の歌に対して「listen」と「hear」が使われています。2つの単語の意味の違いを考えると、上は普通に音楽をきちんと聴くように彼の曲を聞いた、ですが、下は「意識しないで聞いた」、要するに「まぁ聞いた事はあるけど」 的な、あまり彼の曲に興味がなかったと言うようなニュアンスが含まれます。

 次の文章も似たような感じですね

I only heard one song and I left. 1曲だけ聞いてその場から去った。

 曲を聞いたことは聞いたが、あまり興味がなかったのか、注意を払ってなかったのか、といった感じですね。

スピーチに対して

 最初の方の例文にも出たスピーチ。そこでも言ったように、スピーチには基本的には「hear」が使われますが、これをあえて「listen」を使用した場合はどうなるでしょう?
 通常なら「hear」が使われるところをワザワザ意識して聴くと言っているので、何かの解析のために「一字一句聞き取ろうとしている」や「慎重に聞いた」と言うニュアンスになります。

I heard his speech. 彼のスピーチを聞いた。
I listened to his speech. 彼のスピーチをきちんと聞いた。

私の言ってることを聞いてくれない

 次の例文はどれも「私の言ってることを聞いてくれない」と言う意味でよく会話で使われます。ほぼ同じような意味のものもありますが、微妙なニュアンスの違いがあるものもあります。

1) You don't listen to me. あなたは私の言うことをちゃんと聞いてくれない。
2) You don't listen to what I say. あなたは私の言うことをちゃんと聞いてくれない。
3) You don't hear me. 私の言う事はあなたの耳に届かない。
4) You don't hear what I say. あなたは私の言うことをに全く耳を傾けない。
5) You're not hearing me. あなたは私の言うことを聞こうとしていない。/ 私の言葉が耳に届いてない。

 ニュアンスの違いを表現するために、やや強めに意訳してみました。 基本の「listen」と「hear」の違いが分かっていれば  「listen」は「意識して聞こうとしていない」と言うニュアンスで使われていることがわかります。
 1) と2)はほぼ同じ意味です。
 「hear」は意識しないでも本来なら自然に耳に入るハズのことが「あなたには届かない/聞こえていない」と言うことで上記のような意訳になります。

You're not hearing me. は、やや別の意味も

5) の「You're not hearing me.」は「 あなたは私の言っていることを理解していない。」 と言う感じで「You are not understanding me / what I say / what I am saying.」と同じような意味でも使われます。

 最後にやや寛容表現的な文章を2つ。

I'm tired of listening to your lies.
I'm tired of hearing you lie.

 この2つも意味的にはほぼ同じです。細かいニュアンスの違いとして、上の文は「意識して聞いている」と言う意味では「嘘を毎回信じて聞いている」と言うニュアンスがあります。
 それに対し下の「hear」の方は、「あなたが毎回嘘をつくのが自然に耳に入ってくる」ので、それが嫌だと言う感じです。
 ちなみに下の文章は「you lie」なので、「あなたが嘘をつく」と言う感じで、「lie」は動詞です。

「hear」を使った慣用表現

 「hear」を使った慣用表現をいくつか紹介します。

Hear me out. 最後まで話を聞いてくれよ。

 ちゃんと話を聞こうとしない相手に対して、「ちゃんと話を聞いてくれ」や、何かの弁明をするような時によく使います。

I don't wanna hear any other words about it.  反論は聞きたくない。 /この件に関しこれ以上(以外)の言葉は聞きたくない。
I don't want to hear any buts about it. 「でも」とか言う言葉は聞きたくない/言い訳は聞きたくない。

 2つともほぼ同じような感じで使われます。 自分の言ったことに対して、それに反対するような言葉は聞きたくない、と言う意味です(「私の言った言葉がファイナルだ」「 黙って言われた通りにしろ」的に使われます。)


 2つ目の「buts」は皆さんもご存知の「but」の複数形です。
 「but」は「でも」や「だって」のように、会話で言い訳などをする時に使われるので、「『でも』と言う言葉を聞きたくない」=「言い訳は聞きたくない」と言う感じです。
 ちなみにこれらは意訳で「言い訳は聞きたくない」となりますが、直訳でも「言い訳は聞きたくない」と直線的にそう言っている文章はこれです。

I don't wanna hear any excuses. 言い訳は聞きたくない。

 「but」が 複数形になるというのは日本人からするとちょっと不思議な感じがするかもしれませんが、これが「英語を言葉として使用する」ネイティブの感覚なのです。
 「No buts (about it).」だけでも よく使われます。

No buts (about it). 「だって」じゃない!/言い訳は言うな。

 最後にもう一つ。

I don't wanna hear your mumbo jumbo. キミの訳のわからない話は聞きたくない。

 「mumbo jumbo」 と言うちょっと不思議な感じの単語が出てきましたが、「mumbo jumbo」は「色々うんちくを並べているが中身のない意味をなさない言葉」のことです。 こんな文章を使えたら一気にネイティブっぽく聞こえますね。

「buts」のように「s」のつく不思議な?単語

 話は本題からそれますが、「buts」が出てきたのでついでに解説。
 ある意味言葉の遊びのような感覚で、基本的にはどのような単語にも「s」をつけて複数形にすることができます。

There are too many Toms. トムって名前の人間が多すぎる。

 トムは名詞なので「s」がつくのは何となく理解できると思いますが、「but」のように接続詞で「s」がつくのは若干不思議な気がするかもしれませんが、他にも「Ifs」「Ands」などもよく使われます。
 そしてそれらを使った別の「言い訳は聞きたくない」 と言う慣用表現が下記です。

No ifs, ands or buts! 言い訳するな!(どんな言い訳も聞きたくない!)

まとめ

 以上、「聞く」を意味する「listen」と「hear」の 違いについての解説でした。
 踏み込んだところまで解説をしましたが、初級者の方はとりあえず基本的な「意識して聞いているか否か」という違いだけが認識できていれば大丈夫でしょう。

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