単数の時も複数形が使われている「パリピ」など -なんとかして欲しいカタカナ語と和製英語-
複数形として浸透してしまったカタカナ語と、本来のその単数形
日本に取り入れられたカタカナ語や和製英語。
モトとなっている英語は本来、単数・複数で使い分けられているのに、日本語には複数形と言う意識があまりないため、それらの多くは単数系のまま使用されているケースが多いと思います。
「彼は有名なアーティストだ。」
「多くのアーティストが参加した。」→正しくは「多くのアーティス『ツ』が参加した。」(artist→artists)
↑日本語では基本は単数形で話す、と言う事に慣れているのでそれほど不自然に感じない。
そんな中、稀に複数形のままカタカナ語として定着してしまったモノがいくつかあります。
日本語では基本は単数形で話す、と言う事に慣れてしまっている中、いきなり複数形の単語が使われるとちょっと違和感を感じます。
そしてその複数形のカタカナ語が単数のモノを示している時に使われると、さらに混乱させられます。
今回はそんな複数形として浸透してしまったカタカナ語と、本来のその単数形の話をします。
「パリピ」の意味
「パリピ」と初めて聞いた時には、なんの事か全く意味がわからりませんでした。
ただ前後の会話の流れからして、ひょっとして「パーティー・ピープル(party people)」のことを言ってるのかな?と察っする事が出来ました。
一時期、「party(パーティー)」はアメリカ英語の発音では「パーリー」に近いと言うことから、わざと「パーリー」と言う事が流行っていた気がます。
いまだに流行っている「BBQ」をワザと「ビービーキュー」と読むのに似ているかもしれなですね。
(当然「BBQ」は「BBQ」と書いて「バーベキュー」と発音するのが正解。)
その「パーリー」に「ピープル」を足し、さらに日本人得意の短縮形にして「パリピ」になると言う事。
「パリピ」= 「パーティー・ピープル(party people)」
聞こえた通りに話すのは良いのだが…
英語を覚えるには、いわゆるカタカナ発音ではなく「聞こえた通りの音」で覚えるのがスピーキングにもリスニングにも役に立ちます。
よって「party(パーティー)」を「パーリー」と言う事に対しては大賛成です。
peopleはpersonの複数形
しかしこの「パリピ」で1つ、とても気になることが…
それは「party people」と言っている以上、「ピープル」は複数形なので複数の人間を指せなければいけないのです。
いけないというか、そういう言葉なので英語を話す人間からすると、当然複数を指しているものと捉えます。
1 person 2 people
peopleはpersonの複数形。
よって1人の人間を指すときは「パリピ」ではなく「パリパ」(パーティー・パーソン)でないといけないのです。
なのでよく、私1人に対して「あなたはパリピですか?」と聞かれたり、「彼はパリピだから」と言われると、「自分以外の誰を指してるんだろう?」と一瞬本気で戸惑ってしまいます。
「パーティー」を「パーリー」として、ある意味ホンモノっぽくしてるだけに、単数に対し複数形を使っていることが余計気になってしまう、というか混乱させられてしまいます。
またそこで、
「『パリピ』の『ピ』はpeopleで複数形だから1人の時は『パリピ』じゃなくて『パリパ』だよ。」
と正しい言葉に直すのも水を差すようで、また多くの日本人からは鼻につくように思われがちなので言えない、と言うジレンマに陥るのも嫌…。
なのでこれからは「パリピ」を使う場合、1人を対象に言う場合は「パリパ」と言うようにしましょう!
って、しかし多分ほとんどの日本人がそれが正しいと分かっていても、きっと「長いものに巻かれる」感じで言い出せないんだろうな~。
そんな日本人固有の性格がこれだけ勤勉な人種が、中高6年間の英語教育を受けても英語を話せない人が多い、と言う原因の1つになっている気がします。
ストリートチルドレン
「パリピ」はかなり砕けた口語ですが、このストリートチルドレンと言う言葉は結構真面目な日本のテレビ番組などでも間違ってナレーションに使われているのを聞くことがあります。
チルドレン(children)はchildの複数形
こちらも同じようにチルドレンとはchildの複数形。
1 child 2 children
よって「彼はストリートチルドレンだ。」と言うのは間違い。正しくは「彼はストリートチャイルドだ。」とならなければいけないのです。
単位を表すフィート(feet)
最後は極めつけ。これは国家放送のNHKのアナウンサーでさえ間違えているレベル。
かなり教養のある人でもこれを知らなかったりします。
フィート(feet)はフット(foot)の複数形
フィート(feet)はフット(foot)の複数形。
よって2フィート3フィートと言うのは正しいが、1の時は1フィートではなく1フットと言うのが正しいのです。
よくこの話をすると「えー、でも単位なんだから1フィートの時も1フィートなんじゃないの?」と言われますが、単位だろうがなんだろうが1つの時は1つ。要するに単数。
フィートではなくフットとなります。
1 foot 2 feet
そもそもフィートと言う単位が「1歩の歩幅」から来ていると考えると、1の時はフットとなると言うことが理解できるのではないでしょうか?
NHKでさえ堂々と「1フィート」と言っていることを考えると、
これはひょっとして日本ではフィートと言う単位は「1の時もフィートとする」とでも辞書に載っているのか?とさえ思ってしまいます。
もしもそんな決まり事があるとしたら、本家の文法で明らかに間違っているとされているモノを逆に正しいとする外国の国(日本)ってどうなの?と思ってしまいます。
日本では複数形にしないのが基本
本題からはやや外れるますが、その他のカタカナ語を考えてみましょう。
日本語には複数形と言う意識があまりないため、多くのカタカナ語は単数系のまま使用されているケースが圧倒的に多いと思います。
「ドル(dollar)」
例えばアメリカの通貨「ドル」は日本では「1ドル」「2ドル」と言われます。
まあ「ドル(dollar)」の場合、発音からして本来は「ダーラー」となるのになぜか「ドル」となっている、という時点からおかしいのですが…
アメリカでは当然「ワン・ダーラー」「ツー・ダーラーズ」となります。
日本式に書けば「1ドル」「2ドルス」が本来は正しい表記となります。
1 dollar 2 dolars
「1ドル」「2ドル」 → 「1ドル」「2ドルス」?
同じように「ドル」の下の単位「セント」も「ワン・セント」「ツー・センツ」。
1 cent 2 cents
「ワン・セント」「ツー・セント」 → 「ワン・セント」「ツー・センツ」?
しかし日本語では基本単数形を使うという慣習に慣れているため。「1ドル」「2ドル」にそれほど違和感は感じませんね?
「cm(センチメーター/センチメートル)」
日本でもお馴染みの長さを表す「cm」は、「cm」と書いてあっても「センチ」と言うのが通常。
「m」の部分を完全に無視していますが、正しくは「センチメーター(メートル)」というのは多分だれもが知っていることでしょう。
これも英語では「1centmeter」「2centmeters」となります。
ちなみに「meter」は日本のカタカナ語では「メーター」もしくは「メートル」とされていますが、正しくは「ミーター」と発音します。
(日本における公式名称は「メートル」だそうです。)
やや細かい話ですが「c」の「centi」も「センティ」と発音されるので、「ワン・センティミーター」「ツー・センティミーターズ」が正しいカタカナ表記と言えるでしょう。
1centmeter 2centmeters
「1センチ」「2センチ」 → 「ワン・センティミーター」「ツー・センティミーターズ」?
しかしこれも「1センチ」「2センチ」に対して我々はそれほど違和感を感じません。
日本の基本的な暗黙ルールは複数形にしないこと
こうして見てみると日本で使われる多くのカタカナ語は複数形にすることを好まれないようです。
これは単数・複数をあまり意識しない日本人には話しにくいし、それ以上に発音しにくいという理由からでしょう。
なのに不思議なことに今回紹介した上記の3つの例は、逆に複数形として日本に浸透してしまったために起こるカタカナ英語の間違いだったことは、ある意味興味深いです。
日本で外来語は複数形にしないと言うのは、ある意味お決まりのルールなのでそれに対してはバイリンガルも違和感を感じません。
しかし逆に「わざわざ複数形を使っているのに単数を指す」、と言う暗黙のルールも無視したモノにはやはりかなりの違和感を感じてしまうのです。