本場のクリスマスを感じられるオススメ海外ドラマ4

ドラマ「アリー my Love」クリスマス・エピソード・リスト

Ally McBeal

 こちらもNHKで放送され日本でも大きな話題を呼んだ「Ally McBeal(アリー my Love)」(米:1997〜2002年 日本:1998年〜)。 あのNHKが放送した? と、と思う位、ある意味ちょっと過激なドラマです。

 どこが過激かと言うと、このドラマは今までタブー視されていた「性」の部分をドラマの域ギリギリまで表現することに挑戦していたからです。「性」と言っても直接的な描写があるわけではなく、性に絡めた内容がいろいろな形でひっきりなしに出てきます。

 事務所のトイレが男女兼用だったり、そこで壁越しに男女が話をしたり、時には壁から隣を覗くように顔を出したり、はたまたそこで体操したり、フェティシズムを恥ずかしげなく話したり、性に絡めた妄想をやたらとしたり、事務所のいろいろな人とキスをしまくったりと、とにかく今までのドラマとは一線を画した、まさに新しい風を感じさせるドラマでした。
 私はそのドラマの流れを受けて、後に「Sex and the City」が登場して来たのだと思います。

 そんな意味でも「新しいドラマ」として捉えられた「アリー」ですが、他にもドラマ中の音楽に対しても新しいアプローチをしていました。 ドラマの1部として、このドラマで一躍有名になったヴォンダ・シェパードが歌手役としてよくライブ演奏を披露します。その他にもバリー・ホワイト、マライア・キャリーやマーシー・グレーなど、一流ミュージシャンが本人役で登場したりするのも新しかったです。

ストーリー

 舞台はボストンの「ケイジ&フィッシュ」 と言う法律事務所。そこに勤務するアリー・マクビールが主人公。 この主人公もある意味これまでの主人公とは違ってかなり奇矯な性格。かなりの妄想癖があり、その妄想によって、よく登場人物の顔がいきなり膨らんだりしぼんだりするシーンなどが登場します。
 そんな彼女と周りの人々の、恋愛を中心とした日常をオフビートのギャグで描く、シリアス・コメディーです。

「アリー」と言えばクリスマス

 「アリー」と言えばクリスマス、と言ってもいいくらい、「アリー」で人々が思い出すのは「アリー」のクリスマス・エピソードではないでしょうか?

 思うにプロデューサーのデビッド・E・ケリーはクリスマスが大好きだったのではないでしょうか? 通常のドラマが1シーズに1クリスマス・エピソードを放送するのが通常なところ、「アリー」は1シーズンに2〜3話でクリスマスを扱っています。

 またその各エピソードのクリスマス度合いが他のドラマよりもかなり高いです。 登場するすべてのシーンの背景には、これでもかと言う位のクリスマス・デコレーションが映されています。

 そして先程の音楽の話ですが、通常のエピソードでも歌やバーでのライブのシーンが多いのですが、これらが全てクリスマスソングに変わるので、クリスマスムードがさらに高まります。

 そしてドラマとしては異例な「アリー・myラブ〜クリスマス〜 オリジナル・サウンドトラック」と言う、キャストたちが歌っているドラマの中で使われたクリスマスソングのCDまで出してしまったのです。思わず買っちゃいました。

 ここでは、そんなクリスマスに見るべきドラマ「アリー」の全クリスマスエピソードを紹介します

Season 1 | Episode 10

Boy To The World

無慈悲な天使
画像引用元:IMDb より ©


アリーは売春行為で逮捕されたトランスジェンダーのステファニーという名の少年の弁護を担当する。彼の内面や状況を知り、アリーは何とか彼を助けたいと親身になり奮闘する。
リチャードの叔父が亡くなるが、叔父の遺言は彼の背の低い人への偏見を葬儀で話してほしいというものだった。そんなことを当然許さない牧師と法廷で争うことに。
自分の背の低いことにコンプレックスに感じていたジョンは浮かない気分。ジョンからのアプローチを避けていたアリーだが、そんなジョンと接しているうちに、ジョンに対する気持ちに若干の変化が。

 「クリスマスって大好き」というアリーのセリフから始まるこのエピソード。 冒頭からクリスマスムード満載です。しかし今回のテーマは明らかに人の「死」です。今回のクリスマス・エピソードは、そんなしんみりした雰囲気で締めくくられます。

 個人的に印象的だったのはリチャードの叔父が背の低い人が嫌いということ。「なんじゃ、そりゃ?そんなのあるの?」っと思いました。またその理由が「小さい頃に背の低い人に噛まれたから」と、犬が嫌いな人の理由が「小さい頃に犬に噛まれた」と掛けた感じに説明されるのがアメリカン・ジョークぽくて大笑いしました。
 また葬儀でRandy Newman(ランディ・ニューマン)の「Short People」(ショート・ピープル)を黒人クワイヤーが歌うシーンが最高です。みんな歌うますぎ…

Season 1 | Episode 11

Silver Bells

銀の鐘
画像引用元:TVShow Time より ©
画像引用元:IMDb より ©

リチャードは三者間結婚を合法的に成立させたい3人の弁護をアリーとジョンに依頼する。アリーは三者間結婚に対して彼女の倫理に反すると嫌がる。
ジョージアはアリーの存在がビリーを幸せにしていると苛立ち、ビリーとの関係がギクシャクし始める。
毎年クリスマスが近づくと不機嫌になるウィッパーにリチャードはプロポーズを求められていると感じが…
オフィスのビルの下のバーでは毎年恒例のクリスマスパーティーが開かれる。
そこで歌うクリスマスナンバーにエレインは力を入れる。ジョンはアリーをデートに誘う。

 「アリー」のクリスマス・エピソードの最大の魅力は登場人物たちが自ら歌うクリスマス・ソングでしょう。毎年恒例と言う設定で、法律事務所のビルの下の階にあるバーでクリスマスパーティーが開かれ、そこで皆が何かを歌うのです。そのバーでのパフォーマンスに向けたリハーサル風景も含め、このキャストたちの歌うクリスマス・ソングは、この回がはじめての登場となり、今後の「アリー」のクリスマス・エピソードではこれとなります恒例となります。

Season 2 | Episode 10

Making Spirits Bright

汚れなき魂
画像引用元:IMDb より ©

パーティーに行くハズだったのに急に仕事に呼び出されたアリーは腹を立てている。しかし仕事の内容はユニコーンを見たと言って仕事を解雇されたシェルドンを弁護することだった。自分もユニコーンを見たことがあるアリーは弁護を引き受ける。
レネの前には昔の恋人マットが現れ、彼女は心を掻き乱される。
ジョンはなんとかネルとキスをしようと必死。

 もう冒頭からいきなり「クリスマスのCMか!?」と 思わせるようなシーンから始まっています。

 シーズン2だけは放送日の関係からか、残念ながらクリスマスエピソードは1話しかありません。しかしその分クリスマス色たっぷりのシーンが連発されています。

Season 3 | Episode 7

Saving Santa

過去からの使者
画像引用元:IMDb より ©

レネの事務所で 働き始めたジョージアは高級デパートのニューマンズでの乱闘騒ぎに遭遇する。17年間そのデパートでサンタ役をしていたスティーブが太りすぎたため解雇され、それに抗議しての事だった。ジョージアはデパート側、アリーとジョンはスティーブ側の弁護を担当することになり、激しく対立することになる。
アリーはジョージアの一連の行為はビリーに対する腹いせから来てるのではと思う。
そんな中でも幼い頃の自分の幻想に促され、アリーはジョージアとビリーに関係の修復をさせようと試みる。

 「アリー」の登場人物は皆かなり変わった「クセ」を持っていますが、今回登場する証言役の人もかなりの「クセ」を持っていました。

 もともと仲間だったジョージアが、事務所の人たちと対立し溝を深めていく感じが物悲しい感じになっています。

 サンタを題材にしていますが、全体的にクリスマス色が他のエピソードに比べて薄い感じがします。 それでも所々に、そして特にエンディングでは「アリー」らしいクリスマス色たっぷりのシーンもあります

Season 3 | Episode 8

Blue Christmas

聖夜の子守歌
画像引用元:IMDb より ©

エレインはキリスト降誕ディスプレイに捨てられている赤ん坊を見つけ、その子を自分で育てたいと思い立ち、法廷で児童保護サービスと親権を争う。 ビリーはジョージアとの関係を修復しようとするが…
みんなにセクシーさが無いと言われているアリーは、クリスマスパーティーでセクシーさ一杯の「Santa Baby」を歌う。

 今回の1番の売り 何といってもアリーの「Santa Baby」のパフォーマンスでしょう。日本人からすると、同僚にあそこまで迫る感じのことをしていいのか?と理解できないかとも思いますが、アメリカでもさすがにあそこまでは通常ではありません。なので人気のあるドラマなのです。

 やや意地悪系のキャラだったネルとリンが、赤ん坊に対してめちゃくちゃ優しい態度をとっているのも印象的でした。

Season 4 | Episode 6

'Tis the Season

クリスマスの秘密
画像引用元:IMDb より ©
画像引用元:IMDb より ©

クリスマスシーズンが近づき、浮かれているアリーに対して、ラリーはクリスマスをあまり好きでは無いと言う。その理由をはぐらかしていた彼は、あることをアリーに告白する。
ジョンとアリーは「サンタがいない」とTVで発言して解雇されたニュースキャスターのスティーヴンスの弁護を担当する。
ジョンはキミーに歌が歌えるという嘘を言ってしまい、どうしよかと悩む。

 「アリー」の中で一番 ロマンチックなクリスマスエピソードかもしれません。 エンディングのシーンが最高にいい雰囲気になっています。

 ピアノのそばに座るアリーとラリーのシーンは有名なシーンです。
 もう一つの見所は、キミーに歌が歌えると言ってしまったジョンが、どのようなステージを披露するかです。

Season 4 | Episode 7

Love on Holiday

恋愛回避症
画像引用元:IMDb より ©

チャリティーオークションが開催される。競り落とした相手と1日デートができる権利がもらえると言うものだ。
ネルとリンは、ふとした言い合いからどちらが男性から高値をつけられるかで争うことになる。
エレインは元同僚からセクハラで訴えられる。リチャードはその担当にラリーを雇うことにした。

 リチャードがオークションで競り落とされるシーンがとても面白かったです。

 ネルが自分を競り落とした相手との関係で、今まで見せなかった少女のような内面を見せるところがとても印象的でした。

Season 4 | Episode 8

The Man with the Bag

最後に愛は勝つ
画像引用元:IMDb より ©

ネルの父親は自分をサンタクロースだと思い込んでいるため教師の職から解雇された。そんな父の弁護をジョンに依頼する。
ラリーは過剰なまでにクリスマスの飾りつけをした自分のオフィスにアリーを呼ぶ。喜ぶアリーの元にラリーの元恋人が突然にやって来た。

 1つ前の7話では、ややクリスマス色が薄かった気がしますが、今回はまたクリスマス色満載。

 自分をサンタクロースだと思い込んでいるネルの父親の証言を聞いていると「この人は本当にサンタクロースなんじゃない?」と思わされます。

 いつもながら、バーでのライブもクリスマス・ソングとムードたっぷりで素敵です。

Season 5 | Episode 7

Nine One One

悲劇からの再起
画像引用元:IMDb より ©

神を信じられなくなったと発言して教会から罷免された牧師が、運命によってアリーと出会ったと言い、アリーに弁護を依頼する。
後日アリーが彼の家を訪れると、そこにはアリーが以前担当したマルコムという青年がいた。

ジョンは、クリスマスの中止を宣言した市長に対する訴訟を受け持つ。
恒例のクリスマスパーティーで、エレインはグレンとデュエットを歌うことにするが、そのリハーサルでの2人のからみを見たジェニーはエレインに激しく敵対心を抱く。

 番組的な最高の売りは、番組の最後に披露される マルコム役のJosh Groban(ジョシュ・グローバン)の聖歌でしょう。ADのキャストはこれまでも単純に聞いていて「うまい」と思わさせられる歌を披露してきましたが、この人は桁違い!と思ったら、この人は本当の歌手の上、とんでもない才能を持った歌手だったんですね。

 個人的にはグレンのエレインとのリハーサルシーンも好きです。

さいごに

 シーズン1では各評論家などに絶賛され各賞を総なめした「アリー」でしたが、シーズン4の途中でラリー役のロバート・ダウニー・Jrが薬物所持で捕まったことがきっかけか、シーズン5ではあまり人気が出なかったようで、残念ながらそのシーズンをもって打ち切りとなってしまいました。

 そんな最後のシーズンに、目玉であるクリスマス・エピソードが1話しかなかったのは非常に残念です。

 今年(22年)の8月には続編の制作が発表されたようですが、リサ・ニコル・カールソンが演じたレネ・ラディックの娘が主人公になる予定のようで、デビッド・E・ケリーも制作には関わらないそうです。 多分全く違った「アリー」になるような気がします。

「アリー」は普段がはっちゃけているせいか、クリスマスエピソードでは、普段の奇抜なギャグを連発する中にも常にやや暗いテーマが扱われることが多いです。それがまた浮かれているクリスマスの中の裏に常に存在する現実のクリスマスの情景をうまく描いているように感じて私は好きです。

 下手なクリスマスムードを押し売りしている映画よりも「アリー」のクリスマス・エピソード見た方がクリスマスをちゃんと感じられるのではないでしょうか?
 特にファンの間でいまだに語られている、シーズン4のラリーとの1連のエピソードは、「アリー」の中でも最高のシリーズかもしれません。

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