アニメーションの種類全種類網羅!アニメーションの種類はいくつ?

アニメーションの種類は大きく分けて3つ

 世の中にはいろいろなアニメーションが溢れています。
 ネットで検索するとアニメーションの種類が5種類であったり7種類であったりと出て来ますが、個人的にはアニメーションは大きく分けて下記の3つに分類されると考えています。

  • セルアニメーション
  • 特殊アニメーション
  • 3D CGアニメーション

 現在では「セルアニメーション」や「手書きアニメーション」と言っても、実際は何らかのデジタルな手法が使われているので、これらの分類に使われる名称はある意味正確な定義ではないでしょう。
 また、後述する「モーショングラフィックス」や「インフォグラフィックス」など、分類をクロスオーバーする手法もあるので、 現在の作品をある意味正確には定義はできないと言う前提で、個人的にはこのように大きく分けた3つの分類が、分かりやすくていいと考えています。

さらに分けるならアニメーションの種類は4つ

 今も書いたように現在ではデジタルとアナログできっちりと分けることはできませんが、作業工程で何が主になるかと考えると、このように4種類に分けられると考えます。

  • セルアニメーション(アナログ)
  • 特殊アニメーション(アナログ)
  • 特殊アニメーション(デジタル)
  • 3D CGアニメーション(デジタル)

こうして見てみると、アニメーションはデジタルとアナログの2種類に分かれると考えてもいいかもしれません。

さらに細分化すると

 これらの項目をさらに細分化するとこのようになります。
 5種類や7種類どころではありませんね。

多分これで全ての種類と思われるアニメーションの種類を徹底分類してみました。

各項目を詳しく見て行きましょう。

セルアニメーション(アナログ)

 セルアニメとも言われ、日本で「アニメ」と言われて、まず最初に思いつくのがこのセルアニメでしょう。
日本で最も一般的で多く作られている「サザエさん」や「ドラえもん」、「ワンピース」など、TVや映画でよく見るあのアニメのことです。

 なぜ「セルアニメ」と言うかというと、セルと呼ばれる透明なシートに人物などを描き、それを背景の上に重ねて撮影されるアニメーションのことだからです。

 「セルアニメ」=「(日本での)一般的なアニメ」と考えてもほぼ間違いでは無いでしょう。

キャラクターアニメーション

 セルアニメーションの種類の1つで、キャラクターがマスコットやご当地キャラなどのように、一般的なセルアニメに比べてさらに簡易でシンプルに描かれたもので作成されるアニメを指します。
 また背景なども「一色のみ」などのように、凝った背景が描かれてなかったり、他の実写映像などが使われたりと、背景自体が描かれない場合も多いというのが特徴です。

 「『ドラえもん』や『ルフィ』だって キャラクターでしょ?なのになぜそれらは『キャラクターアニメーション』にならないの?」と思うかもしれませんが、その答えは、それはあくまで受発注上の定義だというところにあると考えます。
 キーワードは「さらに簡易でシンプル」と言うことです。
 キャラクターアニメは通常のセルアニメに対し、かなり手間をかけずに制作できるため、制作する側も依頼する側からしても通常のセルアニメよりも短い納期で安価にできる、という考えで受注・発注をできるからです。
 「ゆるキャラ」なども使われるため「ゆる(い)アニメ」と考えてもいいかも知れませんね。(そう言う分類の名前はない)

特殊アニメーション(アナログ)

「特殊」 という単語にやや語弊があるかもしれませんが、一般的なセルアニメではないモノの中で制作上アナログ、もしくはマニュアル(手作業)がメインで制作される作品をこの分類に入れています。

手書き(手描き)アニメーション

 セルの上に描かず、実際の紙の上に描いたり、背景を人物と別々に描かずに全てを1枚の紙の上に描いて撮影されたアニメのことです。

 最大の特徴は実際の紙の上に描くので、色鉛筆画だったり水彩画や水墨画など、手法がセルのベタ塗りに限定されないことです。
 想像できる通り、絵の制御の難しさや、背景なども全て1枚1枚に描くことからも、セルアニメに比べかなりの労力を要します。

 しかしその反面、通常のセルアニメとは異なった、ある種独特の雰囲気をかもし出せると言う芸術的な利点があり、そのことから「アート・アニメ」とも呼ばれたりもします。

 この分野での代表作家としてフレデリック・バックや日本の山村浩二などがあげられるます。
(フレデリック・バックは実際はセル(アセテート)の上に描くことが多いようですが)
彼らの作品を見れば一目でセルアニメとの違いを感じられることでしょう。

 余談ですが、セルアニメもデジタルソフトを使いながらも「手描きで」ソフト上に描いているし、「手描きアニメ」も現在では実際の紙に描くのではなく、ソフト上に描いている場合も多く、「手描きアニメーション」という言葉自体が本当に正しいのか、やや不安になりますが、 これもデジタルが日常生活に深く浸透した現在ならではの現象と言えるでしょう。

フレデリック・バック 「木を植えた男」(C)
山村浩二 「頭山」(C)

ストップモーション・アニメーション

 静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かして撮影するアニメーションこと。
 その中をさらに細分化すると下記種類があります。

 (ちなみにストップモーション・アニメーションで使用される被写体をモデル(模型)と言うことから、モデルを使用したストップモーション・アニメーションのことを「モデル・アニメーション」とも言います。
 なんとなく「モデル・アニメーション」と聞くと現代の「3D CGアニメ」に使用されるものなどと考えてしまいがちですが、「モデル(模型)」を使用したアニメ全体を指します。)

パペット・アニメーション(人形アニメ)

 人形やぬいぐるみなどを1コマ毎に少しずつ動かして撮影するアニメーションこと。

「劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション」予告編(C)

クレイ・アニメーション(Clay Animation)

 先ほどの人形などの素材が粘土(クレイ)で出来ているモノで、それを1コマ毎に少しずつ動かして撮影するアニメーションこと。

 「ひつじのショーン」や「ウォレスとグルミット」などが有名ですね。

ウォレスとグルミット 映画『ベーカリー街の悪夢』公式サイト(C)

ピクシレーション(Pixilation)

 人形や粘土の代わりに、人間を1コマずつ動かしてコマ撮りするストップモーション・アニメーションのこと。

リプレイスメント・アニメーション(置き換え式アニメーション)

 ポーズを少しずつ変えた複数のモデルを置き換えながら撮影するアニメーション。
特にクレイ・アニメーションでよく使われる手法で、例えば顔のパーツのみを複数作製してそのパーツを組み換えることによって様々な表情が表現できます。
 体全体を全コマ分全て作ると言うのは現実的ではないので、このようにパーツのみリプレイス(置き換える)することが圧倒的に多いので、そういった意味ではリプレイスメント・アニメは、1つの独立した分類と言うよりは、パペットやクレイ・アニメーションの中で使われる手法の1つと考えることが出来るでしょう。

切り紙(切り絵)アニメーション(きりかみアニメーション)

 紙、布、写真などを切って作ったキャラクターなどを動かし撮影するアニメーション。
 カットアウト・アニメーション(Cutout Animation)とも呼ばれる。
 ロシアを代表する世界的なアニメーションの巨匠、ユーリ・ノルシュテイン(Yuri B. Norstein)がこの分野の代表的作家です。宮崎駿や高畑勲なども尊敬する超有名なアーティストです。

ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映「アニメーションの神様、その美しき世界」予告編(C)

影絵アニメーション

 影絵で制作されたアニメーションのこと。
 シルエットアニメーション(Silhouette Animation)と呼ばれることもある。
 方法は様々ですが、関節が動くようにつなげた切り紙を使って撮影する方法が一般的です。

 ミッシェル・オスロ(Michel Ocelot)と言うアーティストが有名です。こちらも高畑勲が『キリクと魔女』に惚れ込み、スタジオジブリが彼の作品の配給を行っていることでも有名です。

映画『夜のとばりの物語』予告編 GhibliML(C)

砂アニメーション

 サンド・アニメーションとも呼ばれる、砂を素材として制作されるアニメーション。
 ライトテーブルの上一面に砂を撒き、その盛られた砂の厚さによって下から照らされるライトの量を調整し、その濃淡によって絵を描き、それを1コマずつ動かし撮影されるアニメーションの事。

ATORMENTA sand animation cesarlinga(C)

黒板アニメーション

 現在ではホワイトボード・アニメーションと言うものが広く知られるようになりましたが、その元祖と言われるのがこの黒版アニメーション。
 黒板にチョークで絵を描き、その絵を少しずつ変化させながら1コマずつ撮影して作成されるアニメーション。
 世界最初のアニメの1つと言われるスチュアート・ブラックの作品「愉快な百面相」(Humorous Phases of Funny Faces)がこの手法で作られました。

スチュアート・ブラックの作品「愉快な百面相」(Humorous Phases of Funny Faces)1906

ピン・スクリーン・アニメーション(Pinscreen Animation)

 「ピン・スクリーン」と呼ばれる、数十万もの針のようなピンが差し込まれた板のピンを前後に動かすことによって生まれる光と影で絵を制作し、それを1枚ずつ撮影するアニメーション。

 「ピンスクリーン」と呼ばれる 特殊な装置が必要なことや、絵を描くのではなくその特殊な装置を操るという技術の必要性から、あまり見かけない手法かもしれません。

 この手法はフランス人のアレクサンドル・アレクセイエフとその妻クレア・パーカーによって開発されましたが、ノーマン・マクラレン(Norman McLaren)という人のこの映像が有名。

"Pinscreen" Norman McLaren 1973 | 38 min

フィルムに描くアニメ

 昔はカメラを使って、セルであれ人形であれ、その被写体をフィルムに撮影してアニメーション制作するするのが当たり前でしたが、カメラでフィルム撮影するのではなく、そのフィルムに直接描く手法のアニメーションです。
 カメラを使用しないことから「カメラのいらないアニメ」とも呼ばれます。
 そのフィルムへの描き方は基本自由ですが、有名なところでは、フィルムにカラーマーカーなどで書き込む方法や、針などでフィルムの表面を削って絵を描く方法などがあります。この方法は「針で描くアニメ」とも呼ばれます。
 現在ではフィルム自体にお目にかかることがほぼないと思われますが、当時はアニメーションの授業などで誰しもが1度は遊びとして実験したことがある手法だと思われます。
 私も学生時代これをやって遊びました。

 先ほど紹介したノーマン・マクラレンという人が、この手法も開発したそうです。

Norman McLaren - A Phantasy in Colors
5imone5
英語ですが、彼の制作風景が見られます。
Norman McLaren: Pen Point Percussion
Bêla

特殊アニメーション(デジタル)

主に手書きで制作されるセルアニメに対して、主にデジタルで制作され、なおかつ明らかにセルアニメの 表現方法とは異なり、後述する「3D」ではなく2Dで作成される作品を、この「特殊アニメーション(デジタル)」に分類しています。

モーション・グラフィックス

 イラストや文字などのグラフィックスを動かすアニメーションのこと。
 プレゼン資料の作成ソフトなどで文字や、やじるし等を動かす事をアニメーションと言いますが、あれが1番シンプルで分かりやすい例でしょう。

インフォグラフィックス

 モーション・グラフィックスの1つだと言えるでしょう。
 イラストを使った「ダイアグラム」「ピクトグラム」や、チャートやグラフなどを組み合わせ、伝えたい情報をグラフィカル(視覚的)に表現する手法です。

【3分で分かる!】クラウドとは?(Oracle Cloud)|インフォグラフィックス
株式会社コムフォート(C)

タイポグラフィック・アニメーション

 これもモーション・グラフィックスの1つで、インフォグラフィックスがイラストなどのグラフィックスを使っているのに対し、タイポグラフィック・アニメーションは「テキスト」や「ロゴ」に特化した「文字系を動かす」アニメーションのことを指します。

ホワイトボード・アニメーション

 白い背景(ホワイトボード)に手書きで描画していく流れを映像化したアニメーション動画のことです。
 黒板アニメーションをアナログの特殊アニメーションとして紹介したので、ホワイトボード・アニメーションもアナログの特殊アニメーションに分類されてもいいような気もしますが、あえてこれをデジタルのほうに持ってきたのは、近年見かけるホワイトボード・アニメーションの多くがデジタルで制作されたものだからです。

 とは言うものの、昔からあった手法で、昔は当然アナログで手で描いたものを撮影して作成されていました。
「ホワイトボード」と言うからには、ホワイトボードに実際に描いている感を出すために、ワザと描き手の描く手などを映し込ませる手法が主流で、ここが黒板アニメと背景の色の違い以上に大きく異なるところでしょう。
(黒板アニメの場合、手を写り込ませる方が稀)

 日本では2017年に放送された「東京03」主演のドラマ「漫画みたいにいかない。」(Hulu・日本テレビ)で使用され、一躍(再)脚光をあびた気がします。

 VYOND(ビヨンド)やVideoScribe(ビデオスクライブ)などがホワイトボード・アニメーション作成の有名なソフトで、その他も色々と出て来ていますが、これらのソフトを使う事で他のアニメに比べ比較的簡単に労力をかけずに制作できます。

Doodlyと言うソフトの宣伝動画ですが、どんなものなのかや、デジタル技術でどれほど簡単に作製出来るかが分かります。
How to Create a Whiteboard Animation in ONE DAY
Dreamlet(C)

3D CGアニメーション

 コンピュータソフトを使用して「奥行き」のある3次元空間に、同じく「奥行き」のあるキャラ(360°展開可能)などを配置して動かして制作されたアニメーションのことです。
「トイ・ストーリー」などが代表的な例で、近年のディズニーの映画はほぼ3D CGアニメのみではないでしょうか?
 リアリティのある滑らかな動きや、実写では不可能な角度からの撮影や演出などが可能となることが最大の特徴。

 紙やスクリーンなどの平面の上に再現されてたものを2次元(「縦・横」のみ)と言うのに対し、「奥行き」が足された空間を3次元と言います。
 「縦・横・奥」が存在する空間。要するに私たちが存在・生活している空間ですね。
 2次元は英語の「2-Dimention(al)」の頭文字を取って2D。同様に3次元の「3-Dimension(al)」の頭文字を取って3Dと言われます。

 現在では「コンピュータを使用して制作された3Dのアニメ作品」という意味で「3D」や「3Dアニメ」という言葉が使われることが多いですが、正確には「3D CG」もしくは「3D CGアニメ」です。
 「奥行き」がある3次元という意味では、上で紹介された人形アニメなども3Dアニメ、ということになりますので。

 CGというのは「Computer Graphics(コンピュータ・グラフィックス)」の略で、厳密にはコンピュータが「生成」したグラフィックス(絵やイラスト)を指しますが、近年では広義にコンピュータでなんらかの加工がされたものも広くCGと呼びます。
 つまり「現代のセルアニメ」も広義では「CGアニメ」ということになってしまうのです。

 要するに厳密に言えば「3D CG(アニメ)」という名称を使って、初めて「トイ・ストーリー」などの我々が「3Dアニメ」/「CGアニメ」と思っているものを指すことになるのです。

 ただし(日本と英語圏での違いはあるものの)基本的には「3D」と言えば「= 3DCG」。そして「CG」と言えば、これまた「= 3DCG」となり、「3Dアニメ」・「CGアニメ」のどちらも「3DCGアニメ」を指すことが一般的となっているでしょう。

「3D」
「3Dアニメ」
「CG」          =「3D CGアニメ」
「CGアニメ」
「3D CG」

さいごに

 さてここまでアニメの全種類を見て来ました。
 分類上のカテゴリー名はいろいろありますが、現在ではそのカテゴリー内にとどまって制作される方が稀で、ほとんどの作品が様々な手法を取り入れて、カテゴリーをクロスオーバーして制作される事の方が多いでしょう。

 さて、わが Da Rio Productions が、どのタイプのアニメーションを制作しているかと言うと、それはセルアニメを基本としたアニメーションの制作がメインとなります。

 ただ、セルアニメと言っても、いわゆる一般的なセルアニメではなく、どちらかと言うと手書きアニメに傾倒した「手作り感」を出したアニメーションをメインに制作しています。

 現在メインで制作&配信中の「おばかさんダリオの話すための英文法」でも、線や水彩風の塗りにこだわり、一般的なセルアニメとは違う「手作り感」を表現できるようにこだわって制作しています。

「おばかさんダリオの話すための英文法」のページへ

 またインフォグラフィックスなどのアニメーションも制作しています。
 配信中の「おばかさんダリオの話すための英文法」でも、英文法をわかりやすく解説すると言う点で、ゴテゴテのインフォグラフィックスではありませんが、その手法が使われています。

 3D CGは制作を行っていません。
 なぜかと言うと「あの見た目がどうしても好きになれない」と言う、製作者の個人的な趣向からによる為です。

 人形(キャラクター)部分と背景を作るのがかなり大変だという事は理解していますが、動きがリアルでスムースなのは「コンピュータ処理だから当たり前」と思えてしまい、「動かし方」と言う「アニメーション本来の楽しさ」が感じられないのです。

 見た目が人工的な創作物なのに、動きだけが妙にやたらとリアル、というギャップもどうしても馴染めません…

Follow me!

アニメーションの種類全種類網羅!アニメーションの種類はいくつ?” に対して1件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です