おすすめ映画2
St. Elmo's Fire
セント・エルモス・ファイアー
秋風漂うジョージ・タウンで繰り広げられる、大人へと成長して行く7人の若者の青春ドラマ。
毎年、秋になると観たくなるのがこの映画。
85年公開のSt. Elmo's Fire(セント・エルモス・ファイアー)だ。
Brat Pack(ブラット・パック)という80年代に活躍した若手の人気俳優のグループの蒼々たるメンバーが主演している。
舞台はワシントン州のジョージタウン。そこにあるバー、St. Elmo's に集う、大学を卒業したての仲良し7人組みのドラマ。
大人になっていく過程での若者の苦難や恋愛、喜びや悲しみなどを描いた作品だ。
特にコレと言った大事件が起き、ハラハラドキドキするような内容はないが、大学時代の仲間たちが繰り広げる日々の出来事を通して表現される、成長する過程になぜか見入ってしまう。
多分それには各登場人物のキャラクターの魅力が多いに貢献しているからだろう。
ブラット・パックの脂が乗りに乗っている時期の作品なので、どの登場人物も魅力的。
劇中の彼らのファッションや生活スタイルもまた、とてもハイセンス。80年代という年代を思わせない。今観てもお洒落感たっぷりだ。
登場人物の住むアパートなども、どれもとってもすてきな空間が演出されていて、あんな部屋に住んでみたい、と憧れる。
映像を観ているだけでも気分が良くなる、ファッション映画として観ても楽しめるかもしれない。
余談だが、実は私は初めてこの映画を見た時、期待をし過ぎていたせいか、なんとなく肩すかしを食らった気分だった。しかし、それでもなにか引きつけられる様なモノを感じ、その後も数回観ているうちに完璧にハマり、今では好きな映画ベスト10に入るくらいだ。
ある友人からもこの映画が大好きという話を聞いた。彼も最初はピンと来なかったが徐々にハマって行ったという。似た様な経験談を聞き、その後 St. Elmo's Fire 談義に花咲いた。
さて、なぜこの映画を秋になると観たくなるかと言うと、この映画の舞台が単純に秋から冬にかけての設定だから、というだけではない。
映画全体から、秋の、あのピンと澄んだ空気が流れているのを感じさせられるからだ。
街中が紅葉した木々で覆われてるかのような映像がとにかく美しい。
真夏や真冬に観ても、秋のお日様にあたったような感覚にさせてくれる。そんな情緒感たっぷりの作品は意外とアメリカ映画では少ない気がする。
秋のどこか物寂しい雰囲気たっぷりの中に、大人になっていく過程で感じる人生に対する不安や悲しさなどのヒューマン・ドラマが繰り広げられ、この映画をさらに魅力的にさせているのかもしれない。
誰もが一度は耳にした事があるデイビッド・フォスターのあの名曲、「セント・エルモス・ファイアーのテーマ曲」が、色づいた落ち葉に絶妙にマッチして盛り上げてくれる。
これほどまで、聞いただけで秋の雰囲気や紅葉にあふれた木々を想像させられる曲があるだろうか?
さいごにちょっとしたトリビア的なお話を。
監督のジョエル・シュマッカーは衣、もともと衣装デザインとして映画に携わるようになった。
そこで前回紹介したウッディ・アレン監督の「スリーパー」(73)や「インテリア」(78)などの衣装を手がけている。
そのことから本作品の中でも、部屋の壁にウッディ・アレンのポスターが貼られていたり、それこそ前回紹介した「アニー・ホール」を「昔一緒に見に行ったよね?」と登場人物がそのセリフの一部を言うシーンなどがあり、ちょっとした遊び心がちりばめられている。
またこの監督は私が好きだったINXSというバンドのPVも手がけている。
そんなことからも、やはり、何か私とこの監督には似通った好みの感性があり、それが私をこの映画にここまで引きつけるのだろうか?
秋風を感じる昨今、映画の中でも秋風を感じてみては?
監督・脚本
配給
公開
上映時間
出演者
音楽
主題歌
ジョエル・シュマッカー
コロンビア ピクチャーズ
1985年6月28日(米)1986年2月8日(日本)
111分
エミリオ・エステベス
ロブ・ロウ
アンドリュー・マッカーシー
デミ・ムーア
ジャド・ネルソン
アリー・シーディ
メア・ウィニンガム
デイヴィッド・フォスター
セント・エルモス・ファイアー (マン・イン・モーション) / ジョン・パー