モニター選びにも役立つ、今さら聞けない解像度とは?

解像度とは?

 解像度とは、1インチ(2.54cm)の中にピクセルが何個含まれているかを表すものです。
 要するに解像度とは、1インチの中に詰め込まれたピクセルの数を表します。

 解像度の単位は「DPI」(ディーピーアイ)で表されるのが一般的です。

 解像度はどれだけの情報(ピクセル)が詰め込められているかを表すものなので、この数値が高いほど、ピクセルよりがたくさん集まっていることになり、画像の質がより緻密で高い、ということになります。(72dpiより300dpiの方が画像が綺麗。)

「DPI」とは?

「DPI」とは、

DPI=Dots Per Inch(ドット(ツ)・パー・インチ)

 *(ツ)としたのは、日本では複数形を省略して発音される場合が多いからです

で、解像度を表す単位の1つです。

 ここでちょっと「うん?『1インチの中のピクセル数なのにドット?」と思った方は、とりあえずここではそのまま読み進めてください。
 「DPI」は1インチ(2.54cm)の空間の中にいくつのドットが存在するかを表します。
 例えば「72dpi」(1インチの中に72個のドットが存在する)や「300dpi」(1インチの中に300個のドットが存在する)と言ったふうに使われます。

 同じ大きさの空間に入っているドット数が多い方が当然画像がキレイということになります。

「PPI」とは?

 解像度を表すもう一つの単位に「PPI」(ピーピーアイ)と言うものがあります。

「PPI」は、

PPI=Pixels Per Inch(ピクセル(ズ)・パー・インチ)

 *(ズ)としたのは、日本では複数形を省略して発音される場合が多いからです

の頭文字を取った言葉です。
 ここでやっと「pixels」(ピクセル)と言う言葉が出てきましたね。

 「DPI」も「PPI」も解像度を表す単位です。ではその違いはなんでしょう?
 結論を先に言ってしまうと、どちらを使っても基本同じことを指すことになります。(厳密に言うと違うが、実情同じ意味として使われている)

「DPI」と「PPI」の違い


 「DPI」で使われているDot(ドット)とは、プリンターが印刷するときに実際に出力する点のことです。

 これに対し「PPI」で使われるPixel(ピクセル)はデジタルの画像を構成する「点」のことです。、日本語では「画素」とも呼ばれます。
 (よく「高画素」 なんて言葉を耳にしますよね。これは要するに「いっぱいのピクセル(画像)が含まれている」=「きれいな画像」と言う意味で宣伝文句などによく使われます。)

 よって厳密には「DPI」と「PPI」は違うものなのですが、「同じ範囲の空間に入っている点の数」という意味では同じなので、一般的には「DPI」という言葉が主流に使われています。
 印刷業界の人ですら「PPI」ではなく「DPI」を使うケースが多いです。

総画素数とは

 ちなみに「画素」と言う言葉が出てきたの一応 説明しておきますが、よく耳にする「総画素数」とは、その画像が持つすべてのピクセル数と言うことになります。例えばハイビジョン(HD)と言われる画像は「1920ピクセル ×1080ピクセル」のサイズになります。

 この画像の総画素数は、単純に掛け算をして約207万画素なので、「総画素数207万画素」と表現されます。これも当然、数値が大きい方が画像がキレイと言うことになります。
 ただ総画素数は今回説明している解像度とは全く関係のない話です。

モニターで解像度と言う言葉を使うのは間違い?

 Google検索で「モニター 」と入れると、 サジェスト機能で「モニター 解像度 一覧」「モニター 解像度 おすすめ」などと出てきます。
 要するにモニターのスペックを表すのに「解像度」と言う言葉が使われています。しかしこれはある意味間違いなのです。

 それと言うのもモニターの解像度は72dpiと決まっているからです。(厳密に言えば見た上ではモニター上では72dpiにしておけば画像がガビる事は無い、という意味)

 ただそのサジェスト機能の段階ではまだ100%間違っているとは言い切れません。間違われて使っている(と私が感じてしまう)のは「モニター解像度1980 × 820 px」のようにピクセルと言う単位が「解像度」として紹介されている場合です。

 上でも述べたように、ピクセルと言うのはあくまでもモニター(コンピューター)上で扱う画像の最小単位(の点)です。
 「解像度」は、これも上でも述べたように、「DPI」や「PPI」といった単位で表されます。その単位に使われている(1部である)ピクセルを解像度の単位として扱うのは間違ってますよね?

モニターで解像度と言う言葉を使うのはある意味間違いではない?

 モニターを選ぶ際に、まず1番最初に考える事はなんでしょう? 当然、画質が綺麗なモニターを選びたいと言う観点から「画質!」と答える方も多いと思われますが、私はそれよりも先ずはモニター本体の大きさではないかと思います。

 モニター本体の大きさ(サイズ)は「24インチ」とか「24型」のように「インチ(型)」で 表されます。(インチと型は同じ意味で使われます)

 例えば24インチのモニターを買うと決めたとします。そして24インチのモニターを検索してみると、同じ24インチなのに「1920 x1200 px」「2560×1440 px」などとピクセル数が表記されています。
 これは同じ21インチの中に、どれだけのピクセル数が詰め込まれているかと言う意味になります。 そして当然同じモニターのサイズであれば、「同じ空間の中」なのでピクセル数が多いほど画像がきれいに見える、と言うことになります。

 そう考えると 先程の「DPI」のように「同じ空間の中にどれだけのピクセルが含まれているか」と言う意味で、「モニターで解像度と言う言葉を使う」のもある意味間違ってはいない、と言えるかもしれません。

 ただこれはあくまで同じモニターサイズである事が前提です。

 先ほどの「DPI」では「1インチ内」という基準の中で、ピクセル数が多いか少ないかの比較です。しかしその基準がモニターの場合、モニターのサイズによって変わってしまいますよね?
 24インチのモニターで解像度「1920 x1200」と言うのと、30インチのモニターで解像度「1920 x1200」と言うのとでは比較対象できないと思います。

 よって本来は「解像度1920 x1200」ではなく「ピクセル(画素数)1920 x1200」 と言うのが正しいハズです。

モニターで使われる解像度は「モニター解像度」と考える。

 私はこのように、モニターで「解像度」と言う言葉を使うこと自体が間違い、もしくは混乱を招くのでやめてほしいと思っていますが、モニターのスペックを表記するのに使いやすかった解像度という単語を使う、と言う事が定着してしまった昨今、この流れを止める事はできないと思います。

 そこで出来れば、モニターの話をする場合は、「モニター解像度」という言葉で、本来の解像度とは分けて表記してもらえれば混乱は防げるのではないかと思っています。

(その後色々と調べているうちに見つかりました。私が提唱(?)する「モニター解像度」には、正式には「画面解像度」という言葉があった(省略されて「解像度」になった)ようです。)

「Pixel」には大きさはない?

 ちょっと深掘りした話なので、混乱するようならここは読まないでいいと思いますが、ある意味興味深い話だと思いますので話します。

 実はピクセルには「大きさ」と言うものはないんです。「大きさと言うものがない」と言うのは語弊があるかもしれませんが、例えばセンチメートルのように決まった大きさがないのです。

 定規さえ持っていれば世界中のどこへ行っても「1cmの正方形を描け」と言われれば、その通りのものを誰でも描けます。また1cmの正方形と言われれば誰もが大体の大きさの想像がつきます。しかし「1ピクセルの正方形を描け」と言われても、本来は誰も書けません。それはピクセルの大きさは変動するものだからです。

「Pixel」の大きさを計算する

 「Pixel」には大きさはない、という話は別の記事でも詳しく説明してますが、ここでも一応簡単に説明します。

「Pixel」には大きさはないって どういうこと?


 先程の「DPI」の話ですが、正確な話をするためここでは「PPI」を使って話をします。
 例えば10ppiと20ppiという設定があったとします。

 10ppiは1インチの中に10個のピクセルが存在すると言うことなので、下記の図のようになり1ピクセル=2.54mmになります。
 20ppiは1インチの中に20個のピクセルが存在するので、1ピクセルの大きさは0.127mmとなります。

 解像度によってピクセルの大きさが違ってきますね?
 このようにピクセルと言うのは普段我々が思う大きさと言うものは決まっていない=「Pixel」というモノ自体は大きさと言うモノは持っていないのです。

 なのでやはりモニターで解像度って言葉を使うのは違うんじゃん?と思ってしまうのは、「1920 x1200 Pixel のモニター」と言われても、そもそもそのピクセルの大きさはどれくらいなの?という話になってしまうからです。

モニターは「薄型・軽量化」のようにピクセルの小ささで宣伝してくれたほうがわかりやすいのでは?

 例えば22インチのモニターでモニターの表示域の横幅が495mmだったとします。
 これで「1920 x1200」と謳(うた)っていれば、1ピクセル=0.257mm

22インチ: 495mm ÷ 1920 = 0.319mm

これに対し27インチのモニターでモニターの表示域の横幅が614mmだったとします。

27インチ: 614mm ÷ 1920 = 0.319mm


 となり、上の22インチのモニターの方が1ピクセルのサイズは小さくなります。
 
 ピクセルは画像を表す最小単位です。これを分かりやすく例えると、TVに近づくと(多分最近のTVでも)小さなブツブツがいっぱい集まっているのが見えると思います。その小さな粒1つがピクセルです。
 と言う事は、この粒が小さいほどキレイに見える、ということになりますね?
 よって1ピクセルが小さい22インチのモニターの方が画質はキレイと言うことになります。

 このようにある意味逆の表現になりますが「1ピクセル最小の0.1ミリ!」と(スマホやタブレットのように数値が小さい方が良い、という感じで)謳(うた)ってくれた方が分かりやすい気もしてしまいます。

「解像度」には色々な種類があるから間違いではない?

 現在「解像度」と聞けばDTP関係の人は「DPI」や「PPI」の解像度と思うだろうし、TV・モニター関係の人は「2560×1440 px」などのピクセル数を解像度と思うのでしょう。

 解像度と言う言葉自体コンピューターが出回るようになってから一般的に普及した言葉なので最近のモノかと思われるかもしれませんが、実はコンピューターが登場するかなり以前から解像度と言う言葉は使われていました。「画面解像度」「原版解像度」「フィルム解像度」などがそうです。

「画面解像度」:350TV本(横方向に黒白のシマシマが350本分離できる)
「原版解像度」:100 lpi (1インチあたり最高100本のラインで製版してある)
「(フィルム)解像度」:1200 lpi(フィルム面上で1インチあたり1200本のストライプが分離できる)


 しかし「解像度=コンピューター関係の言葉」として使われるのが一般的になった現在、デジタルの世界ではピクセルと言う考えが不可欠なため、ほとんどの人が解像度と聞けば「DPI」の解像度を指すべきと考えるでしょう(ピクセルの実際の大きさが分からなければの無意味なため)。

 そのような観点や、 昔から使われていた解像度と言う言葉には必ず「〇〇解像度」と言う文字が付いていたように、モニターやテレビの解像度には「モニター解像度」と言う言葉を使うべきではないかと思ってしまいます。

解像度という言葉に関してのまとめ

 昔から使われていた解像度と言う言葉には必ず「〇〇解像度」と言う文字が付いていた、 と書きましたが、実際その業界で働いてる人たちはきっと「〇〇解像度」と言うのはめんどくさいので略して「解像度」と呼んでいたのではないかと思われます。そういった意味でも「モニター解像度」も本来もともとは正式には「モニター解像度」だったものが省略されて「解像度」として呼ばたるのが定着しただけなのかもしれません。


 しかし、これまでの事で理解していただけたと思いますが、ピクセルに元々大きさがないため、解像度はピクセル数と、それが入っている空間の2つが揃って初めて存在しうるのです。(「 昔の解像度」もすべて「インチ」と、空間の定義がされていますね)

 「モニターの解像度」としてピクセル数を表示するのは、「どの範囲の空間に?」と多くの混乱を招くだけと思えます。
 多分皆さんもそうだと思いますが、私の場合、モニターやディスプレイやTVを買う時はまず「何インチのTV」(どれぐらいの大きさのテレビ」)を買うと決めて、そこからその中で出来るだけ画像のキレイなものを探していきます。 そう考えると「お勧めの解像度1920 x1200のTV/モニター」と言われてもピンとこない、と言うか「?」に思えてしまうのですが…

 

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