シティポップアートとは

久々の投稿になりますが、他のブログで商品説明をするために書き始めたシティポップアートについての説明が長くなりすぎて、別のブログでやった方が良いのではないか?と言うことになり、こちらで書いています。
それだけ私のシティポップへの愛着が深いと言うことでしょう。

ここではシティポップアートの特徴を説明し、さらにシティポップアートとマンガやアニメなどとの関係性を見ていきたいと思います。

シティポップアートとは

シティポップアートとは、1970年代後半から80年代に日本で流行した音楽ジャンルであるシティポップの音楽、文化、ファッションやライフスタイルをモチーフにした「ポップで都会的でおしゃれな雰囲気」を全面に押し出したアートのことです。

シティポップアートで特に有名な代表作はなんと言っても、大滝詠一(以降敬称略)のアルバム「A LONG VACATION」の永井博によるアルバム・ジャケット・カバーではないでしょうか?

この永井博や鈴木英人(すずき えいじんと読みます)、わたせせいぞう等がシティポップアートのアーティストとして有名です。

何をもって「シティポップアート」とするか?

シティポップアートの定義とはなんであるか?
それはネット等では書かれてはいませんが、その特徴は個人的には「余分なものは削ぎ落としたシンプルな黒い線のイラストに鮮やかな単色ベタ塗りで色付けをしたもの」と考えています。
特にこのベタ塗りというのが特徴で、一部背景などにシンプルなグラデーション等は使われるものの、ぼかし等は基本は使用されず、人物・風景などの全てをシンプルな線とベタ塗りで表現すると言うところでしょう。

モチーフとしてはアメリカの西海岸を思わせるような風景が多く、海や空、ヤシの木など、リゾートを連想させるもの、そして明るい色のラジカセ(今の人分からん単語?)やアメ車などが使われます。

©画像引用元:PR Time 【新宿高島屋】「永井 博 版画展 2025―Beyond the Horizon ―」より

これも個人的な見解ですが、もう1つの特徴は白い壁の家が多く使われ、同時にその壁の木材の1本1本の線が均一で真っ直ぐな線で全て描かれていることです。
これは必ず、と言うことではなく壁がフラットなベタ塗りで表現されることもあります。

このような書き込みは鈴木英人に多く見られ、永井博はどちらかと言うと壁はフラットに表現していますが、鈴木英人も毎回必ず壁の木材の線を描いていたワケではなく、フラットに1色で表現していることもあります。

同様に床のフロアリングの線なども均一な線で全て描くというのも特徴です。

コンピューターで絵を描くことが一般的ではなかったこの頃、ある意味無機質で機会的なこのような均等な線でイラストを描くことにより、やや未来的な「新しい」感覚と都会感が醸し出され、そのオシャレ感に日本中が虜になったのです。

Amazon | 鈴木英人作品集 The Art Of Eizin Suzuki より
Amazon: 鈴木英人◆【快適波止場】◆アートプリント◆額装 より

また鈴木英人と わたせせいぞう に限ったことですが、右の絵に見られるようなコンフェティ(紙吹雪)のような、本来そこにあるはずのない不明なカラフルな物体が描かれているのも特徴で、その手法は当時話題を呼びました。
どちらが先にやったかは不明ですが…

©画像引用元:鈴木英人事務所 on X: "原画『ALBERT'S BURBER』より
「ハートカクテル」より ©わたせせいぞう

なに?この突然の空気中の浮遊物は…?と言う感じですが…

最後にシティポップアートではアルフォンス・ミュシャのような、重なった部分を省略して全体のシルエトの輪郭だけを描くような手法もよく使われています。

ミュシャは浮世絵など東洋的な絵から影響を受けたとされていて、そのミュシャの手法がまた日本のアートに影響を及ぼしているのは興味深いですね。
(ミュシャとシティーポップの直接的な関係を示す資料はありません。筆者が(恐らく他の多くの人も)個人的に大きな類似点を感じるということです)

Amazon : ハートカクテル サマーストーリーズ (小学館クリエイティブ単行本) わたせせいぞう より

左上の木の葉や花が集合体の輪郭だけで表現されている。

「ストップ!! ひばりくん!」の扉絵 ©江口寿史
「ストップ!! ひばりくん!」の扉絵 ©江口寿史

右の絵の麦わら帽子はシティポップっぽい描画であると同時にミュシャっぽいとも言える。
「ストップ!! ひばりくん!」については後述しますが、2枚目の絵は髪もそうですが、雲の描き方、そして車は描き方もそうですが、車を登場させているトコ自体、実にシティポップっぽいっぽい扉絵となっています。

ミュシャとAmazon Kindle Unlimited

Kindle Unlimited は Amazon で月額980円で200万冊以上の電子書籍が読み放題になるサービスです。実に色々なジャンルの本が取り揃えられていて、そのラインアップも随時更新されています。

アルフォンス・ミュシャの本のいくつかも Amazon Kindle Unlimited の対象になっています。

これ以降で紹介する本のいくつかも Amazon Kindle Unlimited の対象になっているので、興味のある方はこの機会に Kindle Unlimited の会員になるとお得に本を読む事ができます。
まだ Kindle Unlimited の会員になったことのない方は30日間の無料体験もあるので、そちから先ずは始めてみてはいかがでしょう?

マンガへの影響

この頃はマンガなどでもこの様な絵柄が多く使われていました。
代表的な作品は:

  • 「ストップ!!ひばりくん!」 江口 寿史
  • 「TO-Y」(トーイ、To-yとも表記される)上條淳士
  • 「きまぐれオレンジ★ロード」まつもと泉
  • 「ハートカクテル」わたせせいぞう

などでしょう。

「ストップ!!ひばりくん!」 江口 寿史

江口寿史は魅力的な女性画を描く事でも有名な作家さんです。
作家と書いたのは、もともとマンガ家としてデビューし、その後も10年以上マンガ家として活動してきましたが、1990年以降はマンガ家というよりイラストレーターとしての活動の方が中心となって行きました。
イラストレーターとして最近でも活発に活動を続けているので、ご存じの方も多いかもしれません。

近年では2023年に東京ミッドタウン日比谷にて『江口寿史イラストレーション展「東京彼女」』を開催したりもしているので、彼のあの洗練された線で描かれたマンガチックなのになぜかリアルで魅力的な女性画を目にした方は多いのではないでしょうか?

出展元:『江口寿史イラストレーション展「東京彼女」』東京新聞のサイトより

実は私は、当時彼の代表作でありヒット作でもある『すすめ!!パイレーツ』が余り好きではなかったので、 その次に発表され、これまたかなりの話題となったもう1つの代表作『ストップ!! ひばりくん!』も読んでいませんでした。
それでも嫌でも目に飛び込んで来るくらい当時は色んな所で『ストップ!! ひばりくん!』の絵が飾られていました。
『すすめ!!パイレーツ』の影響で『ストップ!! ひばりくん!』も読まないでいましたが、それでもマンガの中身と言うより、彼のイラストは確かに「なんかセンスあるな〜」と思わさせるものでした。

この表紙は近年描き下ろされたもので、中身の漫画の絵柄は全く違うものです。

「ストップ!!ひばりくん!」を Amazon の Kindle Unlimited で!

ちょっと前に知ったのですが、「ストップ!!ひばりくん!」は、未収録ページも完全収録しカラーページも完全再現した「コンプリート・エディション」として再発行されていて、その全3巻が Amazon の Kindle Unlimited の対象になっていました。

この表紙を見ただけで江口寿史のセンスの良さはピカイチ!と言うのが分かります。
シンプルでいてカッコいい!線と色のセンスが抜群。そして、その魅力でなぜかどうしても彼の描くキャラには恋してしまう、みたいな…
あ、「ひばりくん」は実は男ですけど…(ネタバラシではありません。「ひばりくん」が男というのがこの作品のメインコンセプトなんで)

中身のマンガは実はこの表紙のようにそれほど洗練されてませんが(失礼)。なんと言ってもデビューの数年後。 今から40年以上前の話ですからソレはソレ。
それでも、ある意味ヘタウマ風に書かれている女性キャラを所々でめちゃくちゃ魅力的に感じたり、センスの良い扉絵がいくつかあったりと、やはり無二の才能を感じさせられます。

右の絵は私が1番個人的に気にいっている「ストップ!! ひばりくん!」の扉絵。
この落書き風の線の使い方といい、絵に対しての2つの枠…こんな絵描けません!
このセンスの良さに脱帽です!

「ストップ!! ひばりくん!」の扉絵 ©江口寿史

「TO-Y」(「トーイ」、「To-y」と表記される事もある)上條淳士

意外と最近の方は知らない方が多いのではないかと思います。
しかしこの「TO-Y」は私の中でおそらく5本の指に入るであろう、大好きな作品の中でも特に大大大好きな作品です!
当然全巻も持ってますし、最初から最後まで通して読んだ回数はおそらく100回では足りないでしょう。

この作者、上條淳士は絵のセンスもそうですが、その他のギャグやファッション、表現方法などのセンスもかなり革新的なものを持っていたと思います。

大好きな作品なので、この作品の素晴らしい点を上げていったらキリがないので、それはまた別のブログで書こうかと思います。
今回はシティポップに特化して書きます。

シティポップが流行した音楽、文化、ファッションやライフスタイルをモチーフにした「ポップで都会的でおしゃれな雰囲気」と書きましたが、「TO-Y」はまさに当時のおしゃれの最先端な物事が作品のあちらこちらにふんだんに使用されています。
右の扉絵のように、当時おしゃれの最先端だったフローリングにコンクリート打ちっぱなしの壁の部屋が主人公の部屋に使われていて、さらにそのフローリングの描き方も前記したシティポップ的に描かれています。

「TO-Y」©上條淳士
「TO-Y」©上條淳士

また、そのフローリングの床に オーディオ機器などを直接置くと言うことが当時としては、これまでにない全く新しい最先端でおしゃれなライフスタイルとして人々の憧れを集めていましたが、左の絵のように「TO-Y」はまさにそのような生活をしていたのです。

最先端という意味では、絵の話とは若干外れますが、私の記憶ではこの「TO-Y」が初めて音楽と言うものを漫画でメインに扱った作品だったと記憶しています。
そう言った意味でも、この作品自体が時代の最先端を行っていたと言えるでしょう。

「漫画では本来表現できない音を表現している」と「BECK(ベック)」や「Blue Giant」は 評価され「BECK(ベック)」に至っては “バンド漫画の金字塔となった” とまで言われたりもしますが、違います!

その遥か昔に「TO-Y」がバンド漫画の金字塔となっていて、その礎の元その後のマンガが出て来たのです。

「BECK(ベック)」や「Blue Giant」を批判する気は毛頭ありませんが、「漫画での音表現」は「TO-Y」がピカイチ!本当に音が聞こえてくる・流れてる感、ライブ感が素晴らしいです!

「TO-Y」もかなり昔のマンガの上、デビューして間もない時期の作品だったので、絵の不安定さが目立ち、そう言った面では「Blue Giant」に分がありますが、それでもやはりあのセンスの良さや、それを80年代初頭に行っていた凄さは 評価の対象になるでしょう。

「TO-Y」©上條淳士

「TO-Y」には多くの素晴らしい扉絵がありますが、個人的にその中でも最高傑作と思っているのがコレ!線の省略や光と影の表現が最高にセンスのいいシティポップを感じさせる扉絵。

「TO-Y」を Amazon の Kindle Unlimited で!

残念ながら「TO-Y」で Kindle Unlimited 対象になっているのは「To-y 30th AnniversaryEdition」の最初の1巻のみです。
しかし、まずは1巻をお試しで読んでみるのもいいでしょう。
当時の時代背景も垣間見れたりするのも魅力ですが、時代を超えても色褪せない魅力に、きっと「TO-Y」のファンになっちゃうと思いますよ。

「To-y 30th AnniversaryEdition」

通常盤

「きまぐれオレンジ★ロード」まつもと泉

「きまぐれオレンジ★ロード」は1980年代の若者の恋愛模様をポップに描いた作品で、当時の若者、特に中高生の男子中心に熱狂的な支持を受けていました。
この作品もかなりのシティポップの影響が見てとれます。

正直この作品は改めて読み直してみると、ストーリーや絵の品質がかなり低いと感じてしまいます。

それでもこの作品が大ヒットした裏には、いくつかの理由があると思われます。

1つは当時、男子学生をメインターゲットとする恋愛モノ漫画が圧倒的に少なかったこと。

男子学生がメインターゲットと言う事は、当然男の恋心を描く手法の1つとして出てくるのが女性とその女性に対するエロい気持ち。
この作品は当時の少年雑誌としては異例なほどに女性キャラの露出やセクシーショットが多く盛り込まれていたと言う事も、男子学生の心を擽り人気に拍車をかけたのでしょう。

第1話のシーン |「きまぐれオレンジ★ロード」©まつもと泉

第1話の最初の数ページはカラーで発表された。赤い 麦わら帽子など、通常生活ではまず見られないようなアイテムを使用するあたりもシティポップを意識している感がある。

そして前記したように絵の品質にかなりのバラつきはあるものの、たまに主人公の 鮎川まどか がめちゃくちゃ可愛く描かれていたり、彼女のとる態度が男心を擽り、誰しもが「こんな彼女が欲しい〜」と夢描くのでありました。

そして最後にシティポップ調の絵を盛り込んだことにより、当時の男子学生はそのオシャレな世界にもさらに憧れを膨らまされた、と言うことも大きかったと思います。

「きまぐれオレンジ★ロード」©まつもと泉

ビーチにヤシの葉と、 まさにシティポップな扉絵

「きまぐれオレンジ★ロード」を Amazon の Kindle Unlimited で!

「きまぐれオレンジ★ロード」は色々なバージョンが出ていますが、ほとんどが Kindle Unlimited 対象です。
オリジナルやカラー版でなければ Kindle Unlimited で全話読めちゃいます!

こちらカラー版はKindle Unlimited対象外です。

「ハートカクテル」 わたせせいぞう

「シティーポップアートと言えば わたせせいぞう」と言われる位の(色々な意見はあると思いますが)わたせせいぞう を最後に持って来たのは、わたせせいぞう をすでに冒頭の方で紹介している事と、彼の代表作「ハートカクテル」はマンガなのですが、そのスタイルや彼のその他の活動から、どうしても「マンガ」と言うより「イラストレーター」と言う印象が強いからです。

その、わたせせいぞう の代名詞的作品「ハートカクテル」は、明らかにこれまでとは違う新しい漫画スタイルを確立し、瞬く間に世に広がり一生を風靡しました。

その最大の特徴は「やたらとオシャレである!」と言う 一言でしょう。
日本での日本人の男女の恋物語なのですが、明らかに日本じゃない! 超おしゃれなアメリカのような舞台の中で物語は進みます。

一見して分かるように、やはりマンガと言うよりコマ割りされたイラストと言った感じです。

当時、前例のない4ページフルカラーでの連載漫画としてスタート。
毎回4ページで1話完結となっていて、主人公の「僕」と「彼女」は毎回違うキャラ。

セリフも海外映画の字幕の様なセリフ回しが手書きで描かれていたりと、とにかく何もかもが新しく、それもあってか社会現象にまでなったほどです。

フルカラーでマンガを描くにあたって、手描き(塗り)の原稿ではどうしても塗りムラが出てしまうので、人物以外の色はすべて印刷所にカラーチャートの数値で指示をして印刷をしていたそうです。
こういったアプローチを取ったのもこの作品が初めて。
そしてやはりこのような手法が「ハートカクテル」が漫画であるにもかかわらず、どうしてもイラストと言う感覚にさせられてしまうのです。

「ハートカクテル」 を Amazon の Kindle Unlimited で!

残念ながら「ハートカクテル」は Kindle Unlimited 対象では無いようです。
それどころか、当時発売されていたオリジナルの本は電子化すらされていないようです。
比較的最近の作品は電子化されているようなので、どうしても電子書籍で読みたいと言う方はそちらを読んでみるのも良いでしょう。

その他のマンガとシティポップの関係

鳥山明とシティポップ

鳥山明とシティポップになんらかの関係があったかについては明確な情報は見つかりません。
しかし個人的には彼の初のヒット作「Dr.スランプ」には明らかにシティポップの匂いを感じます。

その理由の1つは、背景にやたらと可愛くオシャレなヤシの木が登場すること。
則巻千兵衛の家もシティーポップ風です。
木緑あかねの家、兼喫茶店「COFFEE POT」もシティーポップ感を感じますが、これは当時原宿などで続々と誕生していたアメリカ西海岸を思わせるオシャレな店にも似ています。

それらの店がシティポップの影響でそういったデザインにしたのか、それらの店をもとにシティポップのようなイラストや「COFFEE POT」のような絵が描かれたのか?どちらが先かは不明ですが、私はお互いに刺激を受けあって絵の世界でも実際の街も この頃どんどんおしゃれになっていったのではないかと思っています。

「Dr.スランプ」の話に戻ると、描き文字(擬音の文字)がアルファベットであった事なども、それまでのマンガにはあまり見なかった所やアメリカンコミックスを思わせる所などからもシティポップ感を与えている気がします。

ヤシの木に囲まれた則巻千兵衛の家
「Dr.スランプ」©鳥山明

今回初めて気づいたが、家の周りの木が話によって変わっている…

木緑あかねの家、兼喫茶店「COFFEE POT」
「Dr.スランプ」©鳥山明

「シティーハンター」とシティ・ポップ?

言わずとも誰もが知っている「シティーハンター」。
どちらかと言うとリアルな絵で、私的にはシティポップとは無関係という印象ですが、意外と「シティポップ」と名を打っているイラスト作品が目につきます。

確かにこれらのイラストは原作漫画で見られる、細い線でかなり描き込まれた感のあるものとは違って、どちらかと言うとシティポップを意識した、ややシンプルな線になっています。
色使いも単行本の表紙等とは違いシンプルなベタ塗りを意識して彩色されています。

墓場の画廊


私的にはどうしても「シティーハンター」をシティポップと関連付けられませんが、一応世間ではそのように見られているケースもあると言うことで、ここに紹介しました。
「シティー」つながりと言うことで、やや強引に企画されたのでしょうか?

「ハートカクテル」のパロディ

「ハートカクテル」は、その「絶対あり得ないほどの余りにもオシャレすぎる世界観」から、「やっかみ」と言うより「小っ恥ずかしい」と感じる人(特に男性)も多発し「おかしすぎるだろ!」とよく批判の揚げ玉に取られていました。

否定的な意味で「歯の浮くようなセリフ」という言葉があるが、「ハートカクテル」はまさにその「歯の浮くようなセリフが詰め込められたような世界」の話なのです。
よって当然と言っていいほどに当時の世の多くの男たちに嫌われたのも事実です。

ロック評論家の渋谷陽一をして、
「白々しいシチュエーションと、白々しいセリフ、そしてそれを支えるいじましい幸福願望、全てが不愉快」、
   と言わしめました。

そして多くの漫画家が「ハートカクテル」をネタにしたパロディーを作りました。

当時こちらも社会現象となった大ヒット作、小林まことの「What's Michael?」(ホワッツ マイケル?)。この作品の中でも「ハートカクテル」をネタにしたパロディーの話があり、大爆笑させられ個人的なお気に入りの話になっていたのを覚えています。

「What's Michael?」(ホワッツ マイケル?)©小林まこと

「ハートカクテル」のパロディーはこの巻に収録の「Vol.45 マイケルとの7日間」です。

そんなパロディーの中でも秀逸だったのが、当時を代表するギャグ漫画家、前記した江口寿史のパロディー。
あのつげ義春の『ねじ式』の主人公をハートカクテルのオシャレな世界に登場させ、パロディーを作ったのです。

この「わたせの国のねじ式」はKindle
「ねじ式」もあの超独特なシュールさからいくつもの作品でパロディーとして登場していました。
そんなカオスの中にカオスを突っ込んだような「わたせの国のねじ式」という作品は『江口寿史の爆発ディナーショー』に収録されていて、この本もまた Kindle Unlimited で会員の方は無料で読むことができます。

アニメとシティポップ

上記紹介した作品は全てアニメ化されていますが、アニメ化された段階でどれもシティポップの雰囲気はなくなり、一般的な日本の商業アニメの感じになっています。(「ハートカクテル」を除く)
ここで最後に紹介したいのは、そんな原作とアニメ版の違いではなく、最近のテレビアニメに見られるシティポップの影響です。

ここ数年(2025年現在)TVで放送されるアニメの背景画にシティポップの影響が多く見られるようになって来た気がします。
特に顕著なのがTVアニメ『謎解きはディナーのあとで』(2025年)でしょう。
この作品の背景は明らかにシティポップを意識して作成されています。

©東川篤哉氏、小学館、アニプレックス、フジテレビ
©東川篤哉氏、小学館、アニプレックス、フジテレビ

ちょっと不思議だったのが「僕のヒーローアカデミア」です。
確か第2期だったと思いますが、第2期の最終話の話の最後の方になって背景がいきなりこれまでとは違うシティポップ風に突然変わりました。

「これは第3期ではこういう風になるヨ、と言う暗示なのかな?」と思っていましたが、第3期はほんの気持ちシティポップの影響受けた感のある絵にはなっていましたが 、通常のアニメの風景画に戻っていました。
あれは何だったんだろう

例に出したのは2作品だけですが、他にも多くの作品でシティポップの影響を感じるものがあります。
画風にも流行廃りがあるので、最近は明らかにシティポップリバイバルに乗っかって/感化されて制作されているのでしょう。

そういったところを気にしてアニメなどを見てみるのも面白いですよ。

さいごに

かなり長い文章になってしまいましたが、最初に述べた様にそれだけ私のシティポップに対する愛が深いということでご容赦ください。
何てったって昭和男子の大好きなものは「巨人・大鵬・シティポップ」ですからね!
ってそこまでの時代の人間ではないですが…
(こんなジョーク、現代人の何人に通じるのか…(笑))


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シティポップ風 LPレコードジャケット・パロディーアート 1

Bruce Springsky "Born in the U.S.S.R." 最近、忙しさが半端なくずっと停滞していた新商品情報のブログ。やっと時間を作り、後出しでのアップになりますが… 最近のメイン…

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