クリスタでアニメーションを作りたいならこの教科書(本)!

ショートアニメーション メイキング講座 ~吉邉尚希works by CLIP STUDIO PAINT PRO/EX

 MacやPCでアニメを作ってみたいけど、どうやっていいのか分からない。 手書きアニメには CLIP STUDIO PAINT(以下クリスタ)が良いと聞いたが実際どうやって作るの?

 そんなアニメを始めたいけれど、どこから手をつけていいのかわからない、と言う方も多いのではないでしょうか?この本はそんな方へ是非お勧めしたい本です。
 実は私もこの本でクリスタでのアニメーション制作について1から学びました。

 ある意味結論から言うと、クリスタでのアニメ制作の仕方を学びたいのだったら、もうこの本一強。というかこれ以外にクリスタでのアニメ制作を扱っている本がない気がしますが…

右が「増補改訂版」です。

 ただそういう消極的な選択肢でこの本がいい!という話ではなく、実際にこの本は買って正解と思えた本でした。私自身がクリスタを使ってアニメを作りたいと言う他にも人にも、自信をもってお勧めできる本です。

 実際これだけの内容を網羅している上、よく出来ているので、それ以外の人がこれ関連の本を出そうとしないのではないでしょうか。

 私はアニメーション制作を再開するにあたって、いくつかのアニメ制作ソフトを試してみました。その結果自分の作りたいアニメと自分の制作環境に1番合っているのはその時点ではクリスタが1番と思いクリスタを購入し使用することにしました。

 クリスタのインターフェースはPhotoshopやIllustratorのような一般的な画像作成ソフトに似ていたので最初のとっつきはいいです。しかし似ているとは言え全く同じでは無い。 PhotoshopやIllustratorでは本格的なアニメを制作できなかったので、クリスタでどうアニメを作るのかの検討もつきませんでした。

 また基本的なクリスタの使い方もわからなかったので、まずは丁寧にステップごとに教えてくれるような教則本を求め、この本にたどり着きました。

 ここでは簡単にこの本の特徴と私の活用法を紹介したいと思います。ちなみに私が持っているのは上のリンクの左側の改定前のものです。個人的にはこちらの表紙の方が良い気がしますが、今買うなら右側の改定版と言うことになるでしょう。

*以下、「ショートアニメーション メイキング講座」は「この本」もしくは「アニメ講座」とします。
 下記に表示されている本書の画像は全てAmazon.co.jp より引用されたものです。©ショートアニメーション メイキング講座 吉邉尚希 技術評論社刊

対象読者

 この本はクリスタでアニメーションを制作すると言う目的のために書かれている本なので、それに必要な最低限のクリスタの操作方法は紹介されています。よってクリスタ初心者でも、この本1冊だけでクリスタでのアニメーション制作を始められます。

 逆の言い方をすれば、イラストや漫画を描きたくてその方法を知りたい、と言う方には明らかに向いていません。   

内容

 実際の内容としては上記したように、 クリスタを使用するのに必要な最低限の基本機能の説明、そしてまずはクリスタの持つアニメ機能の基本的な使い方や、アニメーションを作る際の設定方法などが詳しく紹介されています。

アニメの基礎知識

 次にアニメーションの原理的な話と、いくつかのアニメの動きのイラスト例などが、そこそこのボリュームで紹介されています。 ただ当たり前ですが動画の教科書ではないので、すべての基本的な動きが網羅されているわけではありません。

 しかしそれなりの数の事例が紹介されているので、ある意味お得感を感じます。

 また「お化け」や「タメ」 と言った日本アニメ特有の表現手法や、「中割り」「タイムシート」「ライトテーブル」や「オニオンスキン」と言ったアニメ制作に必須な用語や知識、クリスタ上での使用法なども紹介されています。

実例をもとに短編アニメを制作

 そして実際にいくつかの例を使って、クリスタで短編アニメを作成する方法が紹介されます。最初は基本的な動きを使用してのアニメ作品を作る方法を紹介し、それからサイクルアニメーションなどと徐々に応用編へと移っていきます。

 ここで使用される作例ファイルはダウンロードすることもできます。

特殊効果や現在のアニメ制作に使われるクリスタでできるテクニックの紹介

 そしてややポストプロダクション寄りの特殊効果や、フレームワークの付け方などもも詳しく紹介されています。 網羅されていればちょっとしたテレビアニメは作れちゃうんじゃないの?と言う位1連のテクニックが紹介されています。

 変わったところでは実写合成やロトスコープ などまでもが紹介されています。

その他

 著者の吉邉尚希さんの本書と連動したこんなページもクリスタのHP内にあります。 いちど覗いてみてはいかがでしょう? 本の中でどんなブラシを使っているかの解説もあります。

イラスト・マンガ描き方ナビ(クリスタHP内)

 また著者のYouTube動画もアップされているようなので、興味のある方は検索されてみては?

クリスタ初心者の私が買った他の書籍

 この「ショートアニメーション メイキング講座」を買ったあとの感想として、 この本だけあればクリスタ初心者の私でも他の教則本はいらないかな? と思いました。

 しかし上記したように、この本はアニメ制作に特化されているため、クリスタの基本機能すべてが掲載されているわけではありません。それでも他の教則本はいらないかも、と感じたのは工夫や努力(?) すれば、後はネット上の記事で何とかなるのでは?とも思ったからです。

 しかしそんな考えの反面、実は私はほぼ同時にもう1冊のクリスタの教則本も購入していました。それは決して間違った選択肢ではなく、実際クリスタを使い始めて別の本を買っておいて正解だったなと思いました。

 どのようなアニメーションを作りたいかや、どのような絵を描きたいかと言うのは個人によって千差万別です。

 よってこの本を読みながらも「こんな絵を描くのにはどうするんだ?」と思った事が多々ありました。

 もしくはそのように自分から疑問に思うのではなく、逆に第三者から「クリスタではこんな使い方ができる」といった提案のように示された方が助かったり、新しいアイデアが浮かんだりする場合もあります。

 またネット記事は、ピンポイントで探したい場合は便利な場合もありますが、 初心者はまず何を聞いていいのかわからないと言う場合もあります。また本の方がわかりやすさや信憑性もやや高いと私は思っています。

 そんな理由から私が買っていたもう1冊は、やはり「もし公式本があるならやはり公式本だろ!」っとクリスタの公式ガイドブックでした。(実はプラスもう1冊で計3冊同時購入)

CLIP STUDIO PAINT EX 公式ガイドブック

 「CLIP STUDIO PAINT EX 公式ガイドブック」(以下:公式ガイド)は「公式」なので、当然アニメーション機能の説明もありましたが、どちらかと言うと基本操作の方に重点が置かれていて、その操作の例として出されるのは、イラストや漫画制作をベースに説明されている部分がほとんどでした。

 結局アニメ制作は漫画やイラストの描画ができた上で、後は動かすだけと言うことなので、当然と言えば当然かもしれません。

画像引用元:「CLIP STUDIO PAINT EX 公式ガイドブック」©セルシス Amazon.co.jp より


 しかしやはり実際にアニメを作るには、それ以上の具体的な指導のようなものがないと、アニメ制作の経験がある人でも何から手をつけていいのか分からなくなってしまうのではないか、と思いました。

 そんな時に、「アニメ講座」で紹介されている制作例をもとに、自分でも同じように作ってみると言うのは良いスタートにもなりましたし、それによってクリスタのアニメーション機能もより実践的に体得できました。

画像引用元:「CLIP STUDIO PAINT EX 公式ガイドブック」©セルシス Amazon.co.jp より

 それらなばやはり「アニメ講座」だけでクリスタ公式ガイドブックはいらないのではないか?と言う話にもなると思いますが、上記したように、もちろんそれでもやっていける人も多くいると思います。

 ただやはりアニメを作るには、その元となる絵が描けなければなりません。その絵を描く部分を詳しく解説してるのは「公式ガイド」と言う位置づけです。

 また白黒の線画のみでアニメーションを作るのでなければ、クリスタでどのように色を塗るか、といったことも当然知っている必要があります。クリスタは実に実に多くのペイント機能を持っているので「どこから手をつけていいのかわからない」私のような初心者の場合、ネットで何を検索していいのかすらわからなかったのです。

 やはりそのような時に公式ガイドのようなものがあれば本側から提案(?基礎的なことをステップバイステップで教えてくれる)してくれるので、やはり私的には公式ガイドを買って正解だったと思っています。

2冊を併合して使用した

 ちょっとだけ具体的に、私が「アニメ講座」と公式ガイドをどのように使ったのかを紹介すると、まず最初に公式ガイドをパラパラとめくり、ざっと目を通しました。

 次にこの「アニメ講座」も同じようにパラパラとめくり、全体的にどのようなことが紹介されているのかだけを把握しました。
 そして、やはりまずはアニメを作ってみたかったのと、実際にやってみないとわからないと言うことで、この本の手順に従い1つの練習用アニメを作るようにしてみました。

 わたし的にはこの本で紹介されている2つ例を実践してみただけで、自分の作りたい作品はとりあえずできると思い、そこからはとりあえず、先ずは完成度の高いものにならなくてもいいので自分の作品を試行錯誤しながら作ってみることにしました。

 そんな中、自分の表現したい描画方法がこの本に載っていない時は、公式ガイドに戻って読み返すと言う感じで今日に至ります。

 その後も「何かこのような描画表現をしたい」と思った時に「そういえば公式ガイドにそんなことが書いてあったな」と、最初にざっと目を通したことにより、いどこでその情報をゲットしてるのかがわかり、その度にこの本や公式ガイドを逐次参照するといった形で制作してきました。

 今はクリスタを使い始めて数年経つので、これらの本に技術的なことを頼る事はほぼありません。ある程度そのソフトを理解すると、先ほども言ったようにネットで検索したほうが早い場合の方が多いと思います。

 それでも、事ある毎にこれらの本をパラパラとめくり「あーこんなこともあったな〜」と記憶をリフレッシュしたりもしてます。そして「アニメ講座」は、やはり自分の好きなアニメーションのことが書かれているので、単純にパラパラめくっていても楽しい気分にさせてくれるので、情報を得ると言うよりはアニメ雑誌を読むといった感覚で、今でも私の良き相棒として本棚にいます。

おまけのもう1冊

CLIP STUDIO PAINTの「良ワザ」事典 [PRO/EX対応] デジタルイラストに役立つ厳選テクニック211

 最後に先ほどもチラっと話した「プラスの1冊」を紹介します。

 こちらは内容的にはクリスタの基本的機能の紹介なので、アニメーション機能に関しての説明はなく、それ以外では公式ガイドブックとかなりダブった内容となっています。

 ただこちらの特徴としては「テクニック211」と書かれているように、どちらかと言うと「逆引き辞典」のような位置づけです。「こんな時どうすればいいんだろう?」と言う時に目次から引いていけるので、そういった面では公式よりやや便利かもしれません。

 またこちらの本の方が、どちらかと言うと塗りに特化している感があるので、「塗り」のテクニックなどを磨きたい方はこちらの方がいいかもしれません。

 しかし今も言ったように、逆引き的に構成されている本なので、まったくの初心者はテクニックだけがいっぱい紹介されて、逆に途方に暮れてしまうかもしれません。

こちらも新しい バージョンが出ている。右の方が新しい。私が持っているのは左側です。改訂版をかけて


 単純な見た目での話をすると、公式ガイドの方が基本的なテクニックに重点を置いているため、白黒線画の画面が多いのに対し、こちらが塗りに重点を置いているため、カラフルでポップな印象を受けます。

 内容の善し悪しとは全く関係のない話ですが、学ぶときの気分や雰囲気と言うのも人にとっては重要な要素でもあるので一応書きました。

画像引用元:「CLIP STUDIO PAINT EX 公式ガイドブック」©セルシス Amazon.co.jp より
画像引用元:© 株式会社レミック「CLIP STUDIO PAINTの「良ワザ」事典」 Amazon.co.jp より

左が「クリスタ公式ガイド」。右が「CLIP STUDIO PAINTの「良ワザ」事典」。

まとめ

 とにかくクリスタでのアニメの作り方を知りたいのなら「ショートアニメーション メイキング講座」で決まりです。 それは、他に選択肢がないと言う理由ではなく、この本はそれだけきちんと作られた良書だからです。

 そしてクリスタの基本的使い方がわかっているならば、この本1冊ですぐにでもアニメ制作を始められ、様々なタイプのアニメーション作品を作ることができるでしょう。
 しかし私のようにクリスタ初心者の場合は、合わせてクリスタ公式ガイドブックの購入も検討してみると良いでしょう。

 いずれにせよ自分の描いた絵が動くと言うのは、何とも言えないほど楽しいものです。皆さんもぜひ挑戦してみてください。

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