おすすめアルバム1 "Hotel California" by Eagles (「ホテル・カリフォルニア」 イーグルス)
Hotel California
ホテル・カリフォルニア
Eagles
イーグルス
記念すべき第1回目にはいきなり、疑いようもないロック史上の最高傑作「ホテル・カリフォルニア」を紹介する。
かつてこれほどまでに完成度の高いアルバムがあっただろうか?
どんなアルバムでも2~3曲は、「別にどうでもいいんじゃん?」っという感じの曲が数曲はあるものだ。まあ全体の半分の曲が気に入れば、そのアルバムは「まあまあの出来」ということになるが、コイツは違う。
曲的にはどれも最高の仕上がりで、どれもメロディアス。こんなシングルカット出来る曲ばかりを、よくも1枚のアルバムに詰め込められたものだと関心してしまう。
彼らの技術と感性と才能とが最高のピークに達し、これ以上ありえないくらいに相互を最高レベルまで刺激しあった結果であろう。タイミング的にも「この時限定」的な偶発に近い最高の瞬間に作られた、運も味方した奇跡的アルバムであろう。
現に彼らは、次の作品「The Long Run」(97年)の製作で前作を超えようと神経をすり減らし、結局は超えることが出来ずに、その後まもなく解散してしまったのだから。
またアルバムである以上ジャケットも大切な要素だが、このアルバム、ジャケットもアートと呼ぶにふさわしくらいに素晴らしい。
構図といい、色合いといい。どことなく哀愁漂う、なんとも心の底をくすぐるような雰囲気を醸し出し、またそれがアルバムの内容を上手く表現しているところ等、ゾックっと来るくらい泣かせるじゃあありませんか。
内容はレゲー調とも言われるオープニング曲から、ポップ調ありの、ハード系ありの、美しいバラードありのと、てんこ盛り。しかも、それらが全てイーグルス色であって、「無理して作っている」感がないのはさすがです。
最後の曲を聴いた後は「はぁ~」っとため息をつき、アルバムジャケットを眺め、もう1度聞きたくなること必須です。
あまりにも有名な名盤なので、わざわざここで語る必要もないとも思われるが、昔の作品なので若い世代などは名前は知っていたがアルバムを通して聞いたことがない人も多いのではないだろうか? もしそうならば絶対損してますよ。
ダウンロードや配信などで曲をシングルで聴くことが主流になった昨今、アルバムを通して聴く価値のある1枚です。
1.今さら何を語るんだ?というほどのスタンダード曲。また、これも言われ尽くされているが、
やはり最後のギター・ソロの「入り」の部分とその後のギターの掛け合い、そして一番最後のユニゾン・ギターは見事です。
2.Hall & Oates(ホール&オーツ)のDaryl Hall(ダリル・ホール)のことを歌った曲だと言われている。ミディアム・テンポの美しい曲。控えめながらも技量が感じられるギター・プレーもシビレます。
3.Life in the Fast Lane(=駆け足の人生)という表現は英語で慣用表現として使われているが、この曲が元祖。イーグルスの作った言葉だったとは驚きだ。ロックなナンバーで、この有名なリフは、もうギタリストには永遠のスタンダード。以前私は「この曲は(他の曲に比べて)それほど好きではない」とアメリカの中年男性に言ったら「お前はそれでも男か!?」っと言われたほどの曲。
4.ピアノ中心の美しいバラード。Don Henley(ドン・ヘンリー)の裏声に裏返るところがシビレます。
5.レコード時代(B面に裏返さなければいけないこと)を考慮しての、4のリプライズ。「これから第二幕が始まるよ」的な全体の雰囲気を考えての演出は見事です。
6.これまたギター好きにはたまらない、スタンダード的なややハード系の王道的なロック調の名曲。イーグルスのリフは、これだけ単純で素晴らしいリフを、なんで今まで誰も作らなかったんだろう?っと関心させられるほどツボを得ている。ギター好きはとりあえずリフだけはコピーしてしまうだろう。
7.Joe Walsh(ジョー・ウォルシュ)が自画自賛(?)しているように、本当に美しすぎるバラード。ソロがまたこれ以上の出来はない、っと言うほど渋いツボを全て突きまくってます。何度聴いても胸にキュンと来ます。
8.草原を思わせる様なさわやかなミッド・テンポのナンバー。Randy Meisner(ランディ・マイズナー)の高く響く声もよいが、バッキングが非常にいい味を出していて、曲の終わりに向けて何重にも重ね合って来るギターで、抑え目のプレイで決してやり過ぎず、お互いを協調しあってるところなどは、まさに職人ワザ。
9単調ながら盛り上げてくれる、名アルバムの最後を締めくくるのにふさわしい美しいメロディーのスローな名曲。アメリカの考え方を批判した歌詞は「詩」と呼べるほどの素晴らしい出来上がりだ。美しくフェードアウトしていくこの曲を聴き終えると、また最初からプレイしたくなっちゃうワケだ。