細かい事はいいから大雑把に手っ取り早く教えてと言う人にオススメ! 解像度とピクセルの関係

 コンピューター上でイラストやアニメ、映像作品などを作るにはどうしても解像度とピクセルと言うものある程度理解して、最初に設定をする必要があります。

 しかしクリエイターからすれば、やりたい事は作品を作ることであってコンピューターのめんどくさい技術的な事には出来るだけ時間をかけたくない、というのが正直なところでしょう。

 今回はそんなクリエイターが最低限理解していればいい項目をざっくりと簡素化して解説します。

最低限必要な知識をざっくりまとめてみた

 大雑把にざっくりと最初にまとめちゃいますが、とりあえず下記の5点だけがわかっていれば クリエイターには充分なのでは?と思います。

  • 解像度の単位は「DPI」。
  • 「DPI」の値が高いほど高品質(拡大してもガビらない)
  • 解像度はある意味、印刷物にのみ必要。
  • モニターで見ることに限定された作品のDPIはすべて72dpiでOK。
  • ピクセルはデジタル上での画像ファイルの大きさ(縦横サイズ)を表すのに使用されるもの。

以上です。

ちょっとだけ解説

 ❸で、解像度は「ある意味」と言ったのは、例えばWeb上の写真などにも解像度という物が存在します。しかしモニターを通して見ることに限定された画像は、全て72dpiで設定すればいい(問題なくガビらなく見れる)ので、ある意味、印刷を前提としないものに対して解像度を考える必要はない、という事です。

 なので逆に言えばWeb上にアップする画像でも、それをその後印刷する前提であれば印刷物としての解像度の設定をしておく必要があります。

 ❹の「モニターで見ることに限定された作品」とは動画も含まれます。 そしてモニターというのも、世の中のあらゆるディスプレイを指すので、テレビなども含みます。よってコンピューターで絵を描き、それを動画に使うと言う用途の時は72dpiでファイルを作成すれば問題ありません。(ズームインなどをしない前提)

解像度とは?

 一応ここで簡単に説明しておきますが、解像度とは「ある一定の空間の中にどれだけの情報を詰め込んだか(画像の密度)を表す言葉」で、基本は「DPI」もしくは「PPI」と言う単位で表されます。「DPI」と「PPI」は厳密に言えば別のものなのですが、ほぼ同じような意味を表すので、実際は「PPI」を指している時も「DPI」と言う単位が一般的に使用されます。

 「DPI」をちょっとだけ説明すると、「DPI」とは「Dots Per Inch(ドット(ツ)・パー・インチ)」の頭文字を取った言葉で、1インチにどれだけのドット(点)があるかを示し、この値が高いほど情報量が多い(画像の密度が濃い)と言うことになり画像がきれい(拡大してもガビらない)と言うことになります。

DPI=Dots Per Inch(ドット(ツ)・パー・インチ)
72dpiより300dpiの方が画像がきれい

各媒体に適した解像度はこれだ

 では印刷物で設定すべきdpiの値はどうすべきかと言うと、それは下記の表の通りになります。
 「一般的」で表記されている「DPI」(「PPI」)でファイルを作成すれば問題ない、と言うモノです。

 解像度 簡単早見表
一般的 許容範囲
大判のポスター200dpi250dpi
カラー印刷物(A3くらいまで)350dpi300~400dpi
モノクロ印刷物(グレースケール)600dpi
モノクロ印刷物(モノクロ2階調)1,200dpi
モニター観賞用72dpi
ちょっとだけ解説

 大判のポスターの方がA3サイズの印刷物より解像度が低い理由は、ポスターは遠くから見る前提なので解像度が低くても画像のボヤけがさほど気にならないからです。

 ここで「ガビる」ではなく「ボヤけ」 と表現したのは、200dpiあるので、大きくしても「ガビる」感じにはならず「ボヤけ」た感じに見えるからです。 今度街中のポスターなどを近くに行ってじっくり見てみましょう。 明らかに雑誌の写真よりもシャープさがなく、ボヤけているはずです。

 また許容範囲に一般的なdpiより高いdpiを書いたのは、個人的には250dpi位で作りたいと言う考えからです。もともとこの一般的な200dpiと言うのは、一昔前にコンピューターのスペックが今ほど高くなかったので(保存媒体も高価だった)あまり高いdpiにしたくない、そして200dpiだったら許容範囲と言うことで定着した数値だからです。

 カラー印刷物は、ほぼ350dpiで決まっています。しかし私は白黒(モノクロ2階調)で描いた漫画を300dpiで作成し、それを実際に本屋の店頭で並ぶ本として出版したことがあります。このときの出版社の方の話では「300dpiなら何とかいける」と言うことでした。実際に印刷されて出版された本を見ても特に遜色ありませんでした。


 また個人的な趣味でカラー写真を含む雑誌の切り抜き等をスキャンして保存する場合、私は400dpiを使っています。それは、その切り抜きをスキャン後は捨ててしまうため、後から解像度を上げることができないと言う事と、何かの用途に使う時にその画像を拡大する可能性を視野に入れている事。また単純に350と打ち込むより400と打ち込んだ方が打ち込みやすいと言う理由からです。

 先ほど上でも話しましたが、モニターで見ることを前提とされた画像は動画も含めすべて72dpiで問題ありません。ただしその画像にズームインするような場合は、当然それ以上の解像度がなくてはガビります。
 ズームインすると言う事は、ある意味、拡大すると言う事と同じなので、そのズームイン率(拡大率)に応じてdpiを設定すると良いでしょう。

 私はズームインするような可能性がある時の原画を作成する場合、基本的には150dpiで設定します。 これ以上ズームにする事はほとんどのケースでまず考えられないのでこれで問題ありませんが、極端な演出効果を狙って、とんでもない比率でズームインするような場合はこの限りではありません。よってたまに200〜240dpiで画像を設定する場合もあります(かなり稀 )。


 またプロの作品では 最終的に参照される媒体(DVD、BluRay、巨大スクリーンなど)を考慮して144〜200dpi(ppi)で作成されるのが一般的で、場合によっては300dpi(ppi)もある。

 またここに記した印刷物のdpiは「商品レベルできちんと印刷する」のを前提にしたdpi値です。


 よって例えば会社のプレゼン資料や個人の年賀状などは、これより低いdpiでもそこまで汚い画像にはならなでしょう。画像内容や感じる人の個人差にもよりますが、プレゼン資料などは240dpiもあればほとんどの場合で十分と感じるのではないでしょうか?(場合によっては180dpiで行けない事もない)出来るだけdpiを下げたいと思っている方は、使用されているプリンターで実際に印刷してみて、自分の許容できる下限のdpi値を探ってみると良いでしょう。

ピクセルとは?

 ピクセルとはデジタル画像の最小単位のことを指します。

 デジタル画像(ラスター画像)を限界まで拡大すると、1つ1つのブロックで構成されているのがわかりますね? このブロックがピクセルで、このブロックの1つが1ピクセルと言うことになります。
 ちなみに同じように耳にすることがある「画素」はピクセルと同じ意味です。ピクセルの日本語が画素と思っておくといいでしょう。

ピクセルとはデジタル画像の最小単位(最大限拡大した時のブロック)
「ピクセル」=「画素」

画像:「オインキーとお星さま」より © Da Rio Productions
「オインキーとお星さま」のページはこちら→  https://www.amazon.co.jp/dp/B0BGPY2PK9

ピクセルは解像度とは無関係

 解像度に使用されるもう1つの単位「PPI」は「Pixels Per Inch」の略で、ここでピクセルという単語が使われていますが、ピクセルと言うのは解像度(画像の密度)とは全く別のものです。

 ピクセルとはデジタル画像ファイルの縦横の大きさを表すのに使われる単位です。ちょうど実世界の紙媒体のサイズを表す「cm」や「mm」のようなものです。

 デジタル画像ファイルにおけるピクセルは、主にデジタル上での画像の幅と高さの指定に使われます。よってデジタル上での画像の縦横サイズの大きさを表すのに使われます。

 今の文章で何度も「デジタル上」という単語を連発しましたが、これが肝で、ピクセルで指定したサイズはあくまでデジタル上での(画面の中での)サイズであり、実世界ではどのくらいの大きさになるのかはわからないのです。(ちょっとトンチみたいですね?)

 この事はやや込み入った話になり、このページの「手っ取り早く」とはかけ離れてしまうのでここでは割愛します。

一般的なデジタル(ピクセル)画像サイズは?

先程の印刷物と同様、一般的なデジタル上の画像サイズをここに示します。

動画のサイズ(16:9のもの)

名称サイズコメント
8K7680 × 4320 pxl
4K3840×2160フルハイビジョンの4倍の画素数
フルハイビジョン(フルHD)1920×1080ブルーレイはこれで記憶可
ハイビジョン(HD)1280×720現在放送されている主流のサイズ
SD720×480DVDやアナログ放送の解像度

 4Kもそれほど普及したと言う感じではないので、次世代と呼ばれる8Kの画像を作る事はまずないと思いますが、一応参考までに載せておきました。

 YouTubeやVimeo、TikTokなど主要な動画投稿サイトは、現在ハイビジョン以上の画質で作る必要があります。(TikTokは縦横を入れ替えた縦型だが)

Instagramの推奨サイズ

 SNSでは基本、写真を投稿するものなので、投稿者のカメラの撮影するサイズが様々なので、特にこのサイズでという指定はありません。


 また撮影した写真を投稿するのであって、自分で1から作品を作るワケではないので、特にここでサイズの話をする必要はないと思うので割愛します。


 ちなみにSNSのプロフィール写真などの投稿以外の画像のサイズは各SNSによって異なり、その推奨サイズは各SNSで提示されていて随時変更されたりもしますので、そちらを確認したほうがいいと思います。


 ただSNSの中で、個人的にはInstagramだけは独特な画像サイズを推奨していることと、撮影した写真ではなく自分で画像を作って投稿する方も多いと思うので、一応ここに載せておきます。

Instagramの推奨サイズ
アスペクト比画像サイズ (pixel)
正方形1:11080×1080 px
横長1.91:11080×566 px
縦長4:51080×1350 px

 Instagramを揶揄するのではありませんが、私にはなぜInstagramがこのような中途半端なサイズを標準としたのかが理解できません。スマホのサイズに最適化したという事でしょうか?

デジタルの世界と実世界を混合しないように

 さて今回はこれで以上になります。え?「はがきのサイズやA4用紙のサイズは?」ですって?
 はがきやA4用紙は印刷物、実世界に存在するものでデジタルの世界に存在するものでは無いですよね? よってそれら実世界に存在する媒体はセンチメートルやミリメートルが使われ、ピクセルで指定される事は無いので上記の「ピクセルサイズ」では紹介しませんでした。

 近年では「デジタル写真」のことを、単に「写真」と言うのが当たり前になり、つい最近まで実世界に存在していた「紙の媒体の写真」と混合してしまい、そのことがデジタル世界のピクセルという単位と、実世界のミリメートルなどの単位との違いを分かりにくくしてるというのがあるのかもしれません。

 一応例としていくつかの印刷媒体のサイズをここに記します。

種類サイズ名サイズ(mm)備考
一般用紙A3297×420A2の半分のサイズ。
一般用紙A4210×297A3の半分のサイズ。
一般用紙A5148×210A4の半分のサイズ。
一般用紙B4257×364B3の半分のサイズ。
一般用紙B5182×257B4の半分のサイズ。
はがき官製はがき100×148
写真プリントサイズパノラマ(PK)254x102ハガキサイズのパノラマプリント。
写真プリントサイズLサイズ89×127一般的な写真のプリントサイズ。
写真プリントサイズ2L127×178Lサイズの2倍の大きさ。
写真プリントサイズハイビジョン(HV)89x158謂わゆるモニターのハイビジョンとは別物。
写真プリントサイズハイビジョン(HK)102x178謂わゆるモニターのハイビジョンとは別物。
写真プリントサイズパノラマ(PA)89 x254パノラマモードで撮影した写真をプリントするための、横長のサイズ
写真プリントサイズハガキ(KG、キング)152×102ポストカードサイズ。
写真プリントサイズキャビネ130x180一般的な手焼きのサイズ。
写真プリントサイズ4切254×305一般的な大伸ばし写真のサイズでA4程度)
写真プリントサイズ半切356×432コンテスト出展等に適したサイズ。
写真プリントサイズ全紙457×560コンテスト出展等に適したサイズ。
写真プリントサイズA4210×297一般用紙と同じサイズ。
写真プリントサイズA5148×210一般用紙と同じサイズ。

 サイズの単位は全てピクセルではなくミリメートルですね。デジタルの中ではなく実世界に存在するモノだからです。

 まれに現在のデジタル社会を反映して「写真プリントサイズ」に、推奨される画素数(ピクセル数)が表示されている場合もあります。しかしそれは要するに「推奨ピクセル数で写真を作成してください」と言う意味ではなく、「印刷した時にガビらない写真にするには最低〇〇dpiで設定する必要があり、そのdpiにしたとき〇〇ピクセル×〇〇ピクセルに計算されるので、最低そのピクセル数を推奨します」、と言う意味です。

まとめ

 今回は「大雑把に手っ取り早く」という用途で使用すべき解像度とデジタル画像の規定のサイズをメインに説明しました。
 後半の方は「大雑把に手っ取り早く」から、やや脱線してちょっとだけ詳しく話しすぎた気もしますが…

 ピクセルと言うのはデジタルの世界での単位であること。また解像度についてもわかっていただけたでしょうか?

 ピクセルや解像度などは結構頭の混乱する内容だと思います。
 私もそうですが、単純にデジタル作品を作りたいと言うクリエイターの方は、そこまでデジタル知識を知りたくない!とにかく作りたい!と言う方が多いのではと思います。 今回の記事の(特にの前半部分)がそんな方のヘルプにちょっとでもなれば幸いです。


 またこれによってもっと知りたくなった、と言う方はこちらの記事でもさらに詳しく説明していますので、ご覧いただければと思います。

「Pixel」には大きさはないって どういうこと?

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